愛鷹山
スケッチ画と文
富士市美術協会
池田信一さん
富士市中里1451-2
空が抜けるように見える朝、吹く風に揺れて輝く木の葉に囲まれた山道を歩いていると、今まで忘れていた楽しかったことや、人や言葉が心に浮かんでは次々に消えていく。
山の尾根や谷間で鳴く小鳥の声に聞きほれてしまうと、僕は何を思っていたんだっけと、夢と現実が一緒くたになってしまう。
振り向くと、木々の間に見える富士川の輝きと、山波に雲は流れ飛んでいく。草の茂みに寝ころべば、沸き上がる幸福感。
僕はこの自然を形容する、どれだけの言葉を持っているのだろうか。僕には絵を描き、色で表現することしかできない。心も体も愛鷹山に抱かれてひたすら絵を描き、ちっぽけな僕の存在を確認しよう。
愛鷹山は僕の何だろう。青い空は変わらなく広がり、白い雲はゆっくりと流れる。美しいものを美しいと見出す力のある目を持っていこう。富士山よりも愛鷹山を描くことの方が多い僕。これからもそれは変わらない。
- 図表あり -
( 図表説明 ) 地図
- 写真あり -