かりがね堤
スケッチ画と文
新興美術院富士支部
草間 勝さん
富士市広見東本町14-3
富士川橋の手前、水神の森を北に折れると、約100メートルほどでかりがね堤に出ます。私とこの堤との出会いは、富士市民大学歴史講座でした。ここは210年前に築かれたと言われ、巡礼の人柱伝説など数々の歴史が込められています。堤から眺める富士愛鷹の山々は、四季を通して飽くことのない装いを見せ、時折高い煙突から出る白い煙がたなびきながら山ろくに消えていく風情は、また格別の趣があります。
あるときは遊水池内の道を歩きながら、小鳥たちとのふれあいを楽しみ、また肌寒い早春の堤を覆う枯れ草の間にひっそりと咲いている、タンポポやスミレに心を温められることもあります。また堤を横切る東名高速道路からは、ひっきりなしに走る車のエンジン音やタイヤのきしむ昔が聞こえますが、さらに耳を澄ませば、この地底から巡礼の鍾の音も聞こえてきそうです。私は自然の厳しさや美しさ、そして人間の活力とが一体となって見えるこの堤に魅せられ、足を運ぶことしばしばです。
- 図表あり -
( 図表説明 ) 地図
- 写真あり -