【広報ふじ平成4年】お年寄りの生活実態調査の概要がまとまりました
あなたならどうしますか 将来介護が必要になったとき
今働き盛りの45歳前後の人は、団塊の世代と呼ばれています。あと30年もすれば、最もお年寄りの多い超高齢社会の主役になります。老後のことなど考えられない20代の皆さんにだって、必ず老いはやってきます。
現在寝たきりや痴呆といった介護の必要なお年寄りがふえ、また子供との同居率も低下しています。訪問介護等を行うホームヘルパー、日帰りで介護するデイサービス、短期間預かるショートステイなど、これらのサービスを地域で支える体制づくりが急がれています。
市は「いつでも、どこでも、だれでも」必要なサービスが受けられるように「老人保健福祉計画」の策定作業を進めています。今月号は、この基礎資料とするため7月に実施した、お年寄りの生活実態調査の概要をお知らせします。
ひとり暮らしのほとんどは女性。困ったときの相談相手は、やっぱり子供。
望月志んさん
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厚原の望月志んさんは、大正3年生まれ。78歳です。夫の源作さんは、入退院の繰り返しの後、ことし1月に亡くなりました。それからは、ひとり暮らしです。志んさん夫婦は再婚同士。子供はいません。
半身不随の志んさんは、「転んだら困るから」と、外にはほとんど出ません。テレビも目が悪いため、見ることはありません。時々、近所の人が様子を見に来てくれます。
志んさんの一番の楽しみは、毎週水曜日の天間荘行き。自宅まで、車が迎えに来ます。「自分では体が洗えなかったから、初めて洗ってもらったときは本当に気持ちがよかった。頭も洗ってもらったり、ご飯もよばれてさ。天間荘へ行けてよかった。ふだんはひとりだから、人を見ているだけで楽しい。人の話し声を聞いているだけで楽しい」。ホームヘルパーさんは、火曜日は午前中、金曜日は午後訪問して、掃除と買い物のお手伝いをしています。生活費は「おじいさんが、どうにか食べていくだけの年金を残してくれたから」。
志んさんはことし、ひとり暮らしになってから初めての冬を迎えます。「どうやらこうやら越せるかなあと考えたり、どうかなあと思って、布団に入っても眠れないときもある。若いときには、年をとったときのことなんか考えなかった。不自由になってから、いろいろ思うことだらけ」。
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( 図表説明 ) 65歳以上の高齢者人口割合
( 図表説明 ) 平成4年7月1日現在10.5%(人口228,736人)23,956人
この調査は、7月1日現在市内に住んでいる65歳以上のお年寄りを対象に、高齢者福祉課が実施しました。調査員は、民生児童委員や保健婦です。
寝たきりや痴呆のお年寄りの調査も行いましたが、今回はこのうち、ひとり暮らしと夫婦や兄弟姉妹だけの高齢者世帯、そして無作為抽出した高齢者人口の5%に当たる、一般高齢者の調査結果です。
市内でひとり暮らしのお年寄りは、950人。高齢者世帯は813世帯・1,662人です。
65歳以上の高齢者が占める割合は、昨年は10.1%でしたが、ことしは1,480人ふえて、10.5%になりました。ちなみに全国平均は13%です。推計によると富士市でも着実に高齢化は進み、平成7年には11.3%、13年には13.8%になるだろうと予測されています。
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( 図表説明 ) 高齢者の人口割合
次に、ひとり暮らしのお年寄りの84.2%に当たる800人は女性。ひとり暮らしになったわけは、死別がほとんどです。健康状態は、52.1%の人が健康だと答えていますが、何らかの障害がある人も同じくらいいます。
主な生活費は、年金で生活している人が74.3%の700人で、働いて収入を得ている人が100人います。
一方高齢者世帯のほとんどは、夫婦世帯です。高齢者世帯となったわけは、子供の結婚がトップで39.2%、子供の職業の関係が32.1%、合計すると71.3%になります。子供との同居率は、だんだん低下してきています。
離れていても、高齢者世帯が一番頼りにしているのは子供。困ったときの相談相手はだれですかの問いに、74.3%の人は親類や兄弟よりも子供だと答えています。そして、いつも会っている人が40%です。
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( 図表説明 ) ひとり暮らしの男女別人数 ひとり暮らしの84.2%は女性
( 図表説明 ) 高齢者世帯となったわけ
寝込んだら家族で世話をしてほしい。年金や医療保健施設の充実を望む。
久沢の早房正治さん73歳と、よねさん72歳は、来年12月に金婚式を迎える仲のいい夫婦です。5人の子供があって、孫も8人います。今では、お孫さんがボーナスをもらうと、小遣いをくれるのだそうです。
正治さんは、痛風の持病があって血圧も高く、またよねさんも血圧が高いので、2週間に一度は医者通い。それでも「まあ、丈夫な方じゃあないのかなあ」と。
二人の健康法は、正治さんは近<の鷹岡市民プラザに出かけ、午前中は電気あんま器にかかったり将棋を指したり。午後は「足を鍛えなけりゃあ」と、自転車に乗ったり散歩を欠かしません。また、お孫さんとの口げんかもストレス解消にいいとか。
一方よねさんは、野菜づくりが楽しみ。「ちっとばかりの畑だけれど、大根や里芋、白菜をつくってさ。それを、うちのお嫁さんは滋賀県の人だから、野菜を関西風においしく煮てくれるの。おじいさんは痛風で肉が食べられないから、野菜がおいしいとありがたいね」。
正治さんもよねさんも、朝は6時に起きて、夜は9時に寝る規則正しい生活。市で行っている成人病検診や胸のレントゲンも必ず受けるのだそうです。「体もまあまあだし、年金で普通の生活ができているし、高望みしないで相手の気持ちになって暮らすのが、幸せにつながるんだね」。
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年をとると、どこかにぐあいの悪い箇所が出るものです。この調査でも、ひとり暮らし高齢者世帯・一般高齢者を問わず、一番の生活不安は健康問題。ひとり暮らしのお年寄りは、このほかにも生活費のことや頼る人がいない、また借家やアパート暮らしの人も多いために、住居のことでも不安を抱えています。
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( 図表説明 ) 健康のために気をつけていること
お年寄りの持病を順番に並ぺると、高血圧、眼の病気、関節炎・神経痛、心臓病と続きます。また、いつも行くかかりつけのお医者さんのある人は、73%です。
健康のためにふだん気をつけていることを、ひとり暮らしと、一般高齢者に分けて伺いました。際立った差はありませんが、食事に気をつけていると答えたのは、一般高齢者よりもひとり幕らしの方が6.8%高く、反対に健康診査は、一般高齢者の方が4.6%多く受診しています。
お年寄りの持病順位
1 高血圧
2 眼の病気
3 関節炎・神経痛
4 心臓病
調査項目の一つに、将来介護が必要になったときはどうしますか、との問いがあります。それぞれの回答は、生活環境の差を如実に物語っています。ひとり暮らしで家族の世話を望む人は40.4%で、特別養護老人ホームへの入所を希望する人が21.7%います。
在宅サービスを受けながら家族の世話を望むのは、高齢世帯が一番高くなっています。子供と同居している一般高齢者は、73.1%の人が家族に世話をしてほしいと望み、老人ホームへと考える人は、3.6%にすぎません。
そして、面倒を見てくれたり頼れるのは、子供や配偶者だと答えています。
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( 図表説明 ) 介護が必要になったときは
さらに、国・県・市への要望は、年令制度の充実が最も多く19.7%、次いで医療・保健施設の整備14.3%となっています。
市はこれらの調査結果をもとに、お年寄りが抱える問題点の把握と「老人保健福祉計画」に盛り込むための作業を始めました。
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( 図表説明 ) 市への要望
添付ファイル
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