【広報ふじ平成4年】特集 街の見だしなみ・『都市景観』 街の未来が見えてくる
街の景色はジグソーパズル あなたのピース どう使いますか…
−富士市都市景観形成ガイドプラン−
“都市の時代”と言われる近年のまちづくりでは、うるおいや快適性が強く求められています。
「都市の景観形成」とは、快適で美しく個性的に“街の身だしなみ”を整えること。そのためには市民、行政、企業が知恵を出し合いながら取り組んでいかなければなりません。例えば、みんなでジグソーパズルを完成させるのに似ています。
このほど完成した「都市景観形成ガイドプラン」は、そのための手引書と言えます。今回はその内容についてあらましを紹介します。
快適空間集合!!
街がきれいになってきた
近頃、街がきれいになってきたという声をよく耳にします。
その理由の一つとして市が10年ほど前から行ってきた、公共施設への「文化の香りつけ」事業があります。
例えば、青葉通り交差点や潤井川大橋、源平橋などのモニュメント、吉原第三中学校や岩松北小学校、幼稚園、保育園の校舎(園舎)のデザインや色彩。新幹線新富士駅の広場、岩本山公園や中央公園、総合運動公園などの個性的なレイアウトなどが挙げられます。
民間では吉原本町商店街の電線の地中化、富士商店街のコミュニティ−道路やブティック街など、目ざましい変化が見られます。また、中央公園から米之宮神社にかけての道沿い(中部土地区画整理区)には、新しい商店街が出現しました。
都市景観賞を受賞
街の景観を考える上で、公共施設の占めるウエイトは高いものがあります。その意味で、昭和63年に潤井川大橋が、『静岡県都市景観賞優秀賞』に選ばれたことは大きな自信となりました。
また同年の「静岡県まちなみ五十選」には、比奈の湧水公園と今泉8丁目(本国寺西側)のまち並みが選ばれました。これは、富士山の恵みである湧水(ゆうすい)や歴史的なまち並みが、富士市の景観にとって大切な要素であることを物語っています。
点から線へ線から面へ
富士市は、産業の街として発展してきた関係から、住宅と工場が入り交じったまち並みとなっています。
全体から見ると、今まで紹介してきた快適空間は、ほんの一部でわずかな点にすぎません。これから、長い時間をかけて、この点を線に線から面にしていかなければなりません。
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ストーリーを感じさせる街かどが好き
新村照代さん(水戸島)
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10年前に富士市に転入してきましたが、当時よりずいぶんまち並みが都会的になってきましたね。
中央公園のバラや岩本山、それに潤井川の桜もすてきですね。今一番注目しているのは、富士商店街にあるブティック街。よくウインドーショッピングをしますが、それぞれのお店に主張があって、街全体にストーリー性を感じますね。
こうした街かどがふえると随分街が変わると思います。
私たちはこんなプランを考えました
街の景観は23万枚のピース(部品)で完成するジグソーパズル
快適な都市景観を形づくる要素として地形や気象などの自然、まち並みや神社仏閣などの建物のほかに、そこに暮らす人々の心のあり様が大きな影響力を持っています。
人々が生き生きと快適に暮らしている街は、訪れる人たちにとっても心地よい街となります。街は生きているのです。
美しい街の風景や心地よい香り、そして街との一体感は、私たち市民一人一人の感性に大きくゆだねられています。私たちの求める、個性豊かな富士の街の景観づくりは、例えば富士市民23万人分のピース(部品)からできているジグソーパズルに似ています。あなたの持つ1枚のピースをどう使うか、が決め手となるのです。
『都市景観形成ガイドプラン』は、みんなが知恵を出し合い、それぞれのピースを寄せ合い、すり合わせながら1枚の大きな絵を完成させるための手引書と言えます。ですから、この手引書には法的な制限や規制はなく、まちづくりを進める上での基本的なルールを示してあります。ですから、この手引書には法的な制限や規制はなく、まちづくりを進める上での基本的なルールを示してあります。
日々の暮らしの中で体感できる景観を大切にしたい
都市景観形成の基本目標は、(◆)比較的多くの人への見せ方に心を配る景観づくりと、(●)市民の暮らしが生き生きと写し出されるような景観づくりの2点に集約して考えていきます。
◆街のシンボルづくり〔街の顔となる景観を整備し、富士市のイメージを高める〕
・富士山をさまぎまな形で景観に取り入れる工夫をしたり、富士市をイメージできるようなまち並み景観づくりを進めたり、中央公園や新富士駅など多くの人々が訪れる施設や場所、道路、河川などの整備を進めます。また美しい夜景の演出も考えていきます。
◆活気のある景観づくり〔産業都市として活気のある景観を演出する〕
・富士市の顔である工業地帯を先進的な工場地景観に変えていきます。また楽しく買い物ができる商店街や市の中心地の景観づくりを進めていきます。そのほか、主要な交通拠点である東名インターチェンジや建設が予定される第二東名インターチェンジの修景やデザインの工夫をしていきます。
●歴史と風土の再認識〔豊かな自然と歴史的景観を生かして、文化的な生活環境を演出する〕
・市民に憩いとやすらぎを与えてくれる豊かな自然景観を活用して美しい市街地の背景としての景観を演出します。また、富士山の豊かな湧水を生かした水辺景観を市民生活に取り入れます。同時に、旧東海道や由緒ある神社仏閣、古墳など、歴史的環境の修復を図っていきます。
●快適な生活環境づくり〔日常生活になじみ深い景観を大切にし、市民生活を快適にする〕
・住宅地の緑化や水辺の整備を進め、個性のあるゆったりとした景観をつくります。また、公共施設のデザインや修復の質を高め、市民が親しみやすく、使いやすい道、公園、施設をつくり、身近な景観づくりを進めます。
重点整備地区を選び景観拠点をつくります。
この基本目標に沿って、富士市の都市景観の中で特に重要であり、今後景観づくりを積極的に進める地域や施設を選びます。
重点整備地区を選ぶ基準は、「非常に多くの人が訪れる」、「外部からの注目度が高い」、「市民アンケートで選ばれた」、「すぐに整備可能で効果が期待できる」などです。
重点整備地区に選ばれた地区については緊急性、必要性などを考えながら詳しい景観計画をつくり、地元と十分に話し合い、合意が整った地区から順次事業化に取り組んで行くこととします。選ばれた地区は、
・中央公園周辺地区
・新富士駅周辺地区
・富士駅周辺地区
・吉原商店街周辺地区
・市街地に隣接する大規模工場
・旧吉原、鷹岡等既存住宅地
・田子の浦港周辺地区
・泉の里
・青葉通り(臨港富士線)
・富士見大通り(田子捕伝法線)
・旧東海道筋
・潤井川
・第二東名自動車道
となっています。
私たちの私たちらしい街づくりのために
景観形成の今後のスケジュールは、このガイドプランを指針に、平成5年度に『都市景観条例』を制定し、直ちに『都市景観形成基本計画』をつくり上げます。ちなみに『都市景観条例』の制定は現時点では県下で浜松市、静岡市に次いで3番目となります。また、『都市景観形成基本計画』は法的な規制があります。
計画ができ上がりますと、いよいよ快適で生き生きとした街づくりに向けて長い道のりのスタートです。この道は、市民と企業、行政が一体となって歩む道です。そのためには、お互いの受け持つ役割をしっかり心に止めて置かなければなりません。
行政の役割としては、まず市役所内部の体制を整え、区画整理や道路などの各種の公共事業、都市整備に景観形成の精神を生かしていきます。また、市民や企業に積極的に働きかけていきます。企業としては、湧水などの環境資源の保全や地域社会での市民とのふれあいの場づくり、建物のデザイン化や緑化に努めることが期待されます。
そして市民に求められるものは、行政の働きかけに応じて積極的に地域の景観づくりに取り組んでいただくことです。
都市景観はつくることと守って行くことが同時進行していきます。ごみや空き缶の投げ捨て、自転車放置の防止など社会的モラルを守って行くことが何より大切なことだと言えます。私たちらしい私たちのまちづくりのため、23万枚中の1枚であるあなたのピースを有効に生かしてください。
自分たちの街は自分たちの手で
川原宿、塔の木、五味島などの富士中部地区では、区画整理事業に合わせて、街の景観づくりを自分たちの手で進めています。
約400世帯で組織した「富士中部まちづくり推進会」の皆さんです。
富士中部まちづくり推進会 会長 笠井一男さん(左) 顧問 加藤重夫さん
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私たちの地区では、一体感のある街づくりを進めるため、話し合いで家を建てる場合いろいろな約束事を決めてあります。
建物の用途や高さ、敷地面積の制限など地区計画条例の「きめごと」のほか、私たち独自の「申し合わせ」で、道路からの壁面の距離や盛土の高さを統一して、日当たりや排水のトラブルを防ぎ、また、垣根や庭の緑化など潤いのある快適な街づくりを進めています。
会の発足当初は、困難な問題もありましたが、今では理解も深まり、整然としたまち並みができつつあります。これからの都市景観づくりには、こうした市民組織が大変役に立つのではないかと思っています。
まず街を知ることから始めよう
街かどウオッチングのススメ
全市民23万人の、心が一つになって、初めて描ける美しいまち並み。その中の一つのピース(部品)があなたの街へのイメージを映しています。
そのイメージをより鮮明にし、実現に近づけるためには、自分の住んでいる街をもっとよく知ることが大切です。
ふだん見逃しているさり気ない街の風景にこそ、ヒントが隠されているものです。あなたに、街かどウォッチングをお勧めします。
街を歩いてみよう
快適な街づくりのイメージトレーニングには、歩くことが一番です。そしてまず、あなたの好きな楽しい場所を見つけてください。誰も気づかない「秘密の場所」だったらもっとすてきです。
そして、あなただったらその場所をどうテザインしていくか、心の中でデッサンしてみてください。街に出て、ちょっと深呼吸すれば、あなたに街の風が語りかけてくるはずです。
市内各駅停車の旅
時には旅人になって、鉄道で市内各駅停車の旅をしてみてはいかがですか。それぞれの駅にはそれぞれの顔があり、街があります。意外な楽しい出会いが待っていたり、新しい発見があるものです。
さあ、市内15の駅は、旅人に変身したあなたに何を語りかけてくるでしょう。
極めつき公共施設見学
街の景観づくりに公共施設の役割は大きなものがあります。
市は、年間60回ほどの公共施設見学を行っていて、いろいろなコースで皆さんをご案内しています。もちろん『都市景観コース』も用意してあります。申し込みは、3月の“広報ふじ”でどうぞ。
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エントツに色でデザイン
市内の企業でも、街の景観に気を配った活動が展開されています。
今回は、新しく建てるエントツに色でデザインをする本州製紙(株)を紹介します。
本州製紙(株)富士工場施設部長 増田正昭さん
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私どもの会社は、富士商店街に隣接していることもあり、以前から工場の色彩には気を配ってきました。 今回、新築するエントツに色デサインをすることになったきっかけは、市で進めている 「エントツを日本一生かしたまちづくり」を知ったからなんです。高校生のエントツ調査隊が来社しましたしね。
色やデザインは社内で案をつくり、市にも相談しました。来年の正月明けには市民の皆さんにご披露できると思います。
私どもの試みが、今後の企業による景観づくりの足がかりになれば幸いです。
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( 図表説明 ) エントツ(右側)の完成予想図
街かどウオッチングガイド
歩く
歩く健康一万歩 街かどウォッチングの必携書
市内の名所・旧跡を2時間程度で一周できるコースです。現在今泉・伝法・天間地区などにそれぞれテーマを持った10コースが設定されていて、街かどウォッチングには最適です。今年度中には、大渕地区のコースが加わる予定です。
電話 体育振興課 内線2727
富士ひとたび GUIDE MAP 時には旅人のように
市外から富士市を訪れた人向けのパンフレットと地図です。
時には、旅人気分で少しすました富士の街の横顔をのぞいて見るのもおつなものです。
電話 商業労政課 内線2594
読む 街の景観づくりを考える参考書です。
富士市景観形成ガイドプラン
今回、お知らせした、街の景観づくりを進める手引書である「都市景観形成ガイドプラン」のダイジェスト版です。
電話 都市計画課 内線2412
こどもの遊び場マップ
子供たちは、遊びの中から世界を広げ自分の住む地域を学んでいきます。
その意味で子供の遊び場は、街づくりの原点とも言えます。
電話 児童課 内繰2326
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聞く 都市景観シンポジウムヘのご案内
テーマ まちの景観と色彩
日常の生活において、建物や広告物の色彩など、目から入り込む色は景観形成において大きな要素となっていると思われる。
その中で、富士山の景観を損なわずに、ともすると灰色のイメージを感じさせる工業都市の景観形成にあたって、色彩計画の必要性、市民、行政、企業とのコンセンサスを得るにはどうしたらよいか・・・。
とき 11月4日(水曜日)13時30分
ところ ラ・ホール富士
・講演 ◆「身近な環境色彩」 講師 田村美幸さん(公共の色彩を考える会委員長)
◆「まちづくり環境色彩計画 講師 吉田慎吾さん(色彩デザイナー)
・エントツと環境色彩パネル展ほか
問い合わせ 都市計画課 電話 内線2412
添付ファイル
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広報広聴課 (市庁舎8階北側)
電話:0545-55-2700 ファクス:0545-51-1456
メールアドレス:kouhou@div.city.fuji.shizuoka.jp