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【広報ふじ平成4年】平和特集 それぞれの終戦記念日あなたにとって平和とは

ことしも、8月15日の終戦記念日がやって来ます。
内外あわせると、2千数百万人と言われる戦争の犠牲者。夫や息子、恋人を亡くした人。第一線で戦い、すさまじい苦しみを体験した人。防空壕へ逃げ込んだことや、ひもじかった子供のころを思い出す人。そして、全く戦争を知らない若者たち。
それぞれの思いで迎える記念日です。
今月号のテーマは、平和。
市内には、平和のために「・・・私たちは、何をしなければならないのか」と考え、行動しているグループがたくさんあります。
さまざまなお話を伺いながら、平和について一緒に考えてみませんか。
あなたにとって、平和とは・・・。

●核兵器廃絶平和都市宣言
 戦争の惨禍(さんか)をなくし 世界の恒久(こうきゅう)平和を実現することは 全人類の願いであり 世界で初めての被爆(ひばく)体験を持つ日本国民の悲願(ひがん)である
 しかしながら 核軍備拡大競争は依然として進み 平和に対する 深刻な脅威と 戦争の危険は後退してはいない
 富士市は 平和憲法のもとで 平和で明るい生活を享受(きょうじゅ)するため 市民憲章を制定し 市民の行動原理として培(つちか)ってきている 富士市民は 戦争をなくし 真(しん)の平和を実現するための努力を明らかにし 富士山のように 広く 美しく 高くたくましく 正しく生きることを 悠久(ゆうきゅう)の理想として 非核三原則(ひかくさんげんそく)を遵守(じゅんしゅ)しすべての核兵器の廃絶(はいぜつ)を求めることを市民の総意(そうい)とする平和都市を ここに宣言する
  昭和60年11月19日 富士市


自由にものが言える世の中それが平和だと思います。

金井政二さん(富士見台) 平和のための戦争展実行委員長
- 写真あり -
 大学生と接していて感ずるのは、日本人としての大人になっているならば、これくらいの知識があってもいいのではないかと思うことを、意外と知らない。たとえば、「広島・長崎に、原爆が落ちたのは何月何日だ」と聞いても、これが答えられない。日本が、中国から東南アジアヘ侵略していったことなど、全然知らない。そういった青少年に、「戦争の問題にも触れてほしい」。そういう思いは、いつもあります。
 戦争展は、「核兵器廃絶平和富士市民の会」の集まりで、そういうことの必要性を感じている人や、やらなければならないと感じている人が、「ともかく、やってみよう。そのうち、何とかなるんじゃあないか」と始めたもの。最初は、みんなでお金を出し合って、そのうち市からも補助金が出たりして―。少数の意見でも、こつこつと言い続けることは必要だし、一人でも多くの人に見てほしいと思っています。
 戦争展のやり方は、同じものを繰り返しやりながら、一方で毎回新しいものをつけ加えるというやり方。5回目のことしは、従軍慰安婦のこととか、学童疎開。そして、青少年の知らない東南アジアへの侵略のことなど。僕らは何げなくやっていることですが、静岡県の中でも、こういうことをやっているのはほんのちょっとしかない。沼津や清水でもやってないし。客観的に見ると、「なかなか、大したことをやってるなあ」と思います。
 戦争と言った場合、すぐ平和となるのでしょうが、「自由にものが言える世の中」。これが、平和だと僕は思います。全体から外れている人を排除しようとしたり、一緒だと、それがいいと思う風潮がまだまだあります。それの最悪の状態が戦争。いじめなんかも、大人社会の反映だと思いますね。
 いろんな人がいて、いろんな考え方の人がそれぞれ何かをやっている。それが、豊かさなのではないでしょうか。


第5回 戦争展

8月10日(月曜日)〜15日(土曜日) 富士市役所2階・市民ギャラリー
1 アジアの国ぐにへの侵略・加害
 中国、ベトナム、シンガポール、フィリピン、インドネシアの国ぐにを侵略、2,000万人以上の生命を奪った加害の戦争。
2 日本の軍隊と従軍慰安婦
 世界でも類のない、日本軍隊の非人間性―従軍慰安婦はその一つ。日本の償いは終っていない。
3 戦争の広がりと富士市民の暮らし
 男たちが徴兵、徴用で戦場へ行ったあと、女、子供、老人は、少しの配給で飢えをしのいだ。富士市民の暮らしは。
4 戦争と子供たち
“欲しがりません勝つまでは”など、子供たちを戦争に駆り立てた「少国民の歌」そして「学童疎開」など。
5 広島・長崎そして沖縄の惨禍
 広島・長崎への原爆の投下を「正しかった」と発言する者がでる今、そして沖縄返還20周年の今、その実像を見る。
6 平和憲法下の今……
冷戦後の世界で唯一軍事拡大を進める日本。半世紀にわたって富士山麓にある米軍基地。一方で平和を願う世論の高まりが。
●主催 核兵器廃絶平和富士市民の会・平和のための戦争展実行委員会


戦争体験を未来につなげて意味あるものに

高柳福政さん(今泉) 富士の語りべの会事務局
- 写真あり -
 一回目の、「富士の語りべ」の会を吉原市民会館で開いたのは、1989年9月9日。ことし7月12日で、第18回目になりました。毎回、原則的には一人の話をじっくり聞く会。やっぱり戦争体験となると、60歳を過ぎた人がほとんどですが。
 「恒久平和のために、体験を語り継ごう」が趣旨ですから、語りべさんには、こうお願いしています。作文はしない。自分のやったことや見たことをそのまま話す。そして書く。事務局でも、それをそのまま紙面に載せ、貴重な体験の記録紙である「富士の語りべの記」を、その都度発行してきています。
 これまでに語っていただいたのは、中国残留孤児問題、被爆体験、シベリヤ抑留体験など。今後の課題として、「富士の語りべの記」を手書きからワープロにすることや、語りべさんに、「自分史」をまとめていただくこと。10人分くらいを編集して、一冊の本にしてみたいと考えています。
 私にも、戦争体験があります。少年団での分列行進や、校庭の片隅を開墾してサツマイモを植えたこと、石油のかわりの燃料として使う松やに取り。機銃掃射を受け、麦畑へ逃げ込んだことなど。小学校5年のとき終戦。それまで先生に教えられていたのは、「日本は神国。どんなことがあっても負けることはない。勝つんだ」と。それが敗戦。価値観が180度ひっくり返りましたね。
 思うことは、「時代に流されてはいかん。時代の流れを冷静にとらえなければ」ということ。今の生活が豊かだから、自分の青春であり、苦労した「戦争がなつかしい」と思う人も大勢いるでしょうが、世界の中での自分の立場を自覚するのも必要なのではないでしょうか。戦争体験を、単なる回想談に終わらせたくはありません。「平和のために、戦争体験を現代にどう生かし、どう未来につなげていくか」が最も大切です。そうしなければならないし、またそうしなければ意味がないですよ。


お貸しします

★16ミリ映画フィルム
1.核戦争後の地球
  第1部「地球炎上」(30分)
  第2部「地球凍結」(30分)
2.おこりじぞう   (27分)
3.おかあさんの木  (20分)
4.100番目のサル (20分)
5.核戦争      (15分)
★ビデオテープ
1.核戦争後の地球
  第1部「地球炎上」(30分)
  第2部「地球凍結」(30分)
2.ほたるの墓    (90分)
3.チェルノブイリ・クライシス(57分)
4.教えられなかった戦争   (110分)
◆申し込み◆  広報広聴課 内線2823


人間の優しさ勇気平和の大切さを歌声に込めて
親と子のぞうれっしゃ合唱団 代表 内田和美さん

「ぞうれっしゃがやってきた」のお話  −合唱構成の台本から−
 名古屋の動物園に、サーカスから譲られた子供たちの大好きな4頭の象がいました。名前はアドン、エルド、マカニー、キーコ。そのころ、日本は中国と戦争を始めていましたが、やがて世界に広がり、ますます激しくなりました。そんなある日、「危険な動物は殺すように」と命令が下ったのです。「もしもここに爆弾が落ちたら、逃げ出した動物は人を襲うだろう。殺せ!」。たくさんの動物が次々に殺されました。しかし、動物園の園長さんは、「象だけは、なんとしても守りたい。平和な日々が来て、また子供たちと遊べる日まで」と、ないしょで象を飼い続けました。暖房の消えた部屋でキーコが死にました。おなかをすかしてアドンが死にました。苦しかった戦争がようやく終わったとき、日本中の動物園で生き残ったのは、エルドとマカニーだけでした。子供たちの「生きている象が見たい」の熱意は、やがて大人たちの心を動かし、特別仕立ての象列車が、名古屋の東山動物園まで走ることになったのです。
 名古屋市の、東山動物園へ行く日がだんだん近くなり、楽しみが現実的になってきました。8月9日に、いよいよ大人から子供まで300人が参加して、「平和を考え歴史をたどる、ぞうれっしゃ号」の出発です。私たち「親と子のぞうれっしゃ合唱団」は、人間の優しさや勇気、平和の大切さを歌声に込め歌い続けてきました。子供も父親も母親も、みんなで心を合わせて歌ってきました。そしてこの動物園行きも、私たちが5年間温め続けてきた熱い夢なのです。
 去る6月28日には、事前学習会「ぞうれっしゃを考えるつどい」を開きました。絵本の「ぞうれっしゃがやってきた」や、16ミリ映画の「おこりじぞう」・「象のいない動物園」を見て考えました。みんながどんな風に思っているのか知りたくて、アンケートをとってみました。「ぞうが何も食べさせてもらえずに死んでいくところがかわいそうだった」。「動物がせんそうのためつぎつぎにころされていって、とてもかわいそうでむねがいっぱいでした」。「エルドとマカニーのおはかの前で歌を歌ってあげたい」などは子供たち。「戦争を知らない今の子供たちは、貧しさや飢えはわからないと思う。戦争の恐ろしさを昔のことだと思わず、二度とあってはならないことだと実感してほしい」。「子供たちが戦争の悲惨さを少しでも受けとめ、平和の大切さを考えるきっかけにしてくれたらうれしいのですが」とは、母親たち。
 私たちが歌い続けてきた「ぞうれっしゃがやってきた」に、こんな箇所があります。まず子供が歌います。『僕たちの胸からあふれでた熱い思いが一つに集まって走らせた象列車。心を一つにすれば夢だってかなうと信じよう今こそ』。次に大人が歌います。『人間の命を慈しむ心を動物の命を慈しむ心を、子供たちよいつまでも忘れないでほしい』と。「親と子のぞうれっしゃ合唱団」は、優しさ、勇気、平和を満載して走り続けて行こうと思います。
添付ファイル
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広報広聴課 (市庁舎8階北側)
電話:0545-55-2700 ファクス:0545-51-1456
メールアドレス:kouhou@div.city.fuji.shizuoka.jp
〒417-8601 静岡県富士市永田町1丁目100番地 電話 0545-51-0123 ファクス 0545-51-1456
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