【広報ふじ平成4年】街のぬくもり大切に 地域福祉計画
だれもが安心して暮らせる明るい街・・。それが私たち市民の願いです。
お年寄りも、子供も、心身にハンデキャップを持つ人ものびのびと日々の生活を楽しめる・・。そんな社会の実現を目指した、『地域福祉計画』ができあがりました。
今回は、その中から特に高齢者福祉にスポットをあてそのあらましをお知らせします。
きょうも街中で福祉活動が
ふえ続けるお年寄り
10年後には総人口の13.8%に
現在、富士市の人口は約22万8,000人。その内65歳以上のお年寄りは約2万2,000人で、人口の約10%を占めています。
ちなみに、10年後の平成13年には3万3,000人に達し、人口比率も13.8%になるだろうと推定されています。また現在、ひとり暮らしの老人や老人夫婦世帯など、在宅福祉サービスの対象となるお年寄りは約4,000人ですが、同様に約6,500人に達する見込みです。
出生率は低く、核家族化が進んでいます。
富士市の出生率は人口1,000人に対して11.6人で、10年前に比べて2.5人減少しています。また一世帯人員は3.4人で、10年前に比べ0.4人滅少しています。
出生率の低下と核家族化に加えて近年の女性の社会進出などから、家庭でお年寄りの世話をする介護能力は低下の傾向にあります。
広がる福祉サービス
こうした社会環境の変化や都市化により、価値観が多様化しているため、さまざまな福祉サービスが求められています。
地域に開かれた施設『駿河荘』
市立養護老人ホーム「駿河荘」は、平成4年5月で創立10周年を迎えました。当時「老人ホーム」といえば、町や住宅から離れた場所が一般的であった中で、「駿河荘」は富士見台団地の中に建てられ、『開かれた施設』として、積極的に地域社会との交流を図ってきました。
奉仕活動、運動会、夏祭りへの参加など地域とのふれあいを深める一方、ひとり暮らしの老人への食事サービスやホームへ招いてのリフレッシュ事業など、さまぎまな在宅福祉サービスを発展させてきました。
- 図表あり -
( 図表説明 ) 年齢3区分別人口の推移と推計
地域に根づく在宅福祉サービス
「駿河荘」のほか、市内には社会福祉法人の経営する特別養護老人ホームが4か所あり、それぞれに地域に根ざした在宅福祉サービスを展開しています。主なものに、
★デイ・サービス
家庭に引きこもりがちなお年寄りを、週に1回から2回バスでホームへ送迎し、リハビリや娯楽活動、食事、入浴などを楽しんでいただき、健康で生きがいのある生活を送ってもらおうというものです。
お年寄りに大変人気の高いサービスです。
★食事サービス
地域に住むひとり暮らしのお年寄りに、ホームで作ったお弁当を週1回届けるものです。
食事を届けることで、栄養改善やふれあいによってお年寄りの孤独感を和らげるという目的があります。そしてこの事業は多くのボランティアの皆さんによって支えられています。
ショート・ステイ
寝たきりや、痴ほう症のお年寄りを持つ家族が病気や冠婚葬祭などで、一時的に介護できなくなったときに1週間を限度にホームでお預かりします。
高齢者介護ホーム
家族の介護を必要とするお年寄りを昼間だけお世話し、介護者の身体的、精神的負担を軽くします。現在「やすらぎの家」と「ふれあいの家」があります。
- 写真あり -
( 写真説明 ) デイ・サービス
( 写真説明 ) 食事サービス
( 写真説明 ) 高齢者介護ホーム
在宅保健サービス訪問指導(看護)
保健婦人センターでは、保健婦と看護婦による訪問指導(看護)を行っています。
寝だこの処置や予防、機能回復訓練の指導のほか、医療機関との連絡調整などを実施しており、現在保健婦20人、看護婦5人、理学療法士二人のスタッフで在宅保健サービスの充実に努めています。
ことしから訪問歯科保健医療を開始します。
寝たきりのため歯の治療が困難なお年寄りを対象に、訪問による歯科治療を行います。この事業により、義歯の修理や口腔清掃ができ、栄養面の改善や衛生の向上を図ることができます。
介護者への配慮が重要なポイント
高齢化が進んでくる中で、家族など介護者の負担はますます大きなものとなってきます。
在宅福祉サービスを進める上でこうした介護者への配慮が重要なポイントとなってきます。
在宅介護支援センター
家庭での介護や看護に関する要望は、ますます増加し、多様化してきます。支援センターではお年寄りに関するあらゆることについて相談に応じています。
現在、支援センターは1か所で、「岩本園」にあります。
民間団体も活発な介護者支援活動を展開しています。
また、市内には「すぎなの会」という痴呆性老人を抱える介護者同士が集まり、お互いの苦悩を軽くし、よりよい介護を進めようという自主的な団体があります。
この会では、会員以外の人々の相談にも応じるなど、市民サイドから広く地域へ働きかけています。
市民の関心も高まっています
公共施設見学、「福祉コース」が大人気!
毎年市は、年間50回ほど公共施設見学を実施していますが、中でも福祉施設の見学を希望する市民が急増。昨年度は15団体、約250人の皆さんをご案内し大好評でした。
学ぶ市民
市は、「家庭看護教室」や「介護ボランティア講座」などを開催していますが、高齢者問題の高まりから、家庭や地域で生かせる教室をもっと開いてほしいとの要望が多く寄せられています。
社会福祉協議会の活動
民間の社会福祉活動の拠点
こうした市民自らの活動を市民サイドから支えているのが、社会福祉協議会です。
協議会では独自のきめ細かな福祉サービスを展開しており、ボランティアの育成や組織化、青少年の福祉教育など、地域に対して積極的な基盤づくりを働きかけています。
6地区に「地区福祉推進会」が
こうした地区への働きかけは「地区福祉推進会」の発足を促し、現在、6地区で活動を開始しています。
天間地区の高齢者昼食懇談会や、富士見台地区の「駿河荘」を利用した少年福祉体験講座など、それぞれの地域の特色を生かした活動が展開されています。
手づくりの「介護教室」で学んでいます
影山美穂さん(岩本)
- 写真あり -
私たちは、仲間同志で「生き生きライフ講座」という教室を開いて介護などの勉強をしています。
教室を開催するには、保健婦さんや医師の皆さんの協力をいただいています。現在30名ほどで学んでいますが、将来は地域ボランティア活動などに役立てたいと思います。自分も楽しみながら、地域福祉を学んでいきたいですね。
ぼけ老人を抱える家族の会 「すぎなの会」
- 写真あり -
私たちの会では、痴呆性老人の介護者として抱えているお互いの悩みや心配事を相談し合い、心に安らぎを与え、励まし合いながらよりよい介護を進めています。
今回、私たちの経験や介護の知恵を会員以外の人にも役立ててもらおうと、電話相談を始めました。秘密は厳守します。お気軽にどうぞ!
だれもが安心して暮らせる福祉の街を目指して
新しい福祉システムを求めて
富士市の福祉は、これまでに多くの市民の皆さんがそれぞれの分野で地道な活動を続け、知恵を重ね合って今日まで進んできました。
迫りくる高齢化の波を巧みに乗り越えていくためには、今までに蓄積したこのノウハウを結集し、体系づけて新しい視点から福祉システムをつくりあげていかなければなりません。
視点を地域に置きます
新しい福祉システムの視点は、地域社会に生活している人々の抱える福祉に係わる問題を、できるだけ身近なところで解決するということです。
視点を生活の場である地域に置いて、社会福祉を計画的に進めていくためには、市と市民が一緒になって地域福祉計画をつくっていく必要があります。
計画をつくることによって、各種施設や蓄積されたノウハウを効率的に活用することができ、地域社会を原点に、住民の自主的な参加に支えられた21世紀の福祉社会を築いていくことができます。
地域福祉計画の目指す目標
計画の実現のために次のような目標を掲げ、達成を目指します。
1 生涯を通じて「安心した生活」ができる街
2 地域で「ふれあいのある生活」ができる街
3 だれもが「暮らしやすい」福祉の街
4 市民の「連帯と参加」でつくる福祉の街
サービスに応じたエリアを設けます
市民がいつでも、どこでも必要なサービスを利用できるよう、サービスが効果的に提供されるエリアを設け、必要な拠点施設を整備していく必要があります。
- 図表あり -
( 図表説明 ) 福祉エリア関係図
1近隣区(日常生活支援)エリア
地域住民のネットワークを形成し、福祉サービスの対象者やそのニーズをきめ細かく把握するエリアです。
民生・児童委員、健康づくり推進員、町内会長、ボランティアなどの皆さんがこのネットワークを支えます。
2小学校区(地域福祉活動)エリア
公民館を積極的に活用し、地域の実情に応じた住民の自主的な福祉活動を進めます。
3中間区(基本的サービス)エリア
個人一人一人の具体的なニーズに応えるため、地域の福祉施設を拠点として、デイ・サービス、ショートステイなどの通所サービスやホームヘルプサービス、食事サービスなどの訪問サービスといった基本的な在宅福祉サービスを行います。
4市全域(総合サービス)エリア
福祉と保健、医療のサービスを総合的に調整し、相談や指導など専門的サービスを提供します。
そのための中核拠点として、総合福祉センターを整備し、保健婦、ケースワーカーなどの専門的な人材を配置していきます。
- 写真あり -
( 写真説明 ) 中学生福祉体験学習
- 図表あり -
( 図表説明 ) 福祉サービス
思いやりつないでぬくもりに
人々の思いやりをつないで大きな輪にすると、ぬくもりが広がります。地域福祉を進めるため、まず、この輪をつくっていきます。
・福祉施設を有効に活用して地域の在宅福祉サービスの拠点となるよう工夫します。
・福祉と保健、医療サービスを相互に連携させて、総合的なサービスの提供を進めていきます。
・社会全体の仕組みの中に福祉の機能を組み込み、福祉教育や啓発活動を進め、人材を育てていきます。また、社会福祉協議会など民間サービスを育成していきます。
10年後を見据え今私たちは
地域福祉計画では、今後10年間の事業目標(左図)を明らかにしています。しかし、この計画の実行にはさまざまな問題や多くの困難が予想されてます。でも、私たちは後戻りするわけにはいきません。
―だれもが安心して暮らせる福祉の街をめざす「地域福祉計画」10年後の計画達成に向かって、きょうも街のあちこちで日々の福祉活動が繰り広げられています。
暮らしに広がるぬくもりの輪を感じなから、今私たちは何をすべきか・・。一人一人がそれぞれの視点で積極的に考え、知恵をだし合い、信頼し合えば、答えは意外と手の届くところにあるのかもしれません。
- 図表あり -
( 図表説明 ) 10年間の事業目標(抜粋)
福祉情報コーナー
「富士市地域福祉計画」(ダイジェスト版)
『地域福祉計画』の全容をコンパクトにまとめた冊子です。ご希望の方に差し上げます。 社会課 内線2311
「おとしよりの福祉」
市内で受けられる老人福祉保健サービスが、このパンフレットですべてわかります。 高齢者福祉課 内線2315
『富士市地域福祉計画』に関するお問い合わせは 社会課 内線2311
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広報広聴課 (市庁舎8階北側)
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