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旧街道　
後藤光子
- 写真あり -

　まばゆいような若葉が次第に深緑に変わり、富士山が少しかすんで見える日曜日の午後、ハイキングや摘み草に何度となく登った郷里の山へ、スケッチブックを抱えて出かけました。
　30年という時の経過はいや応なく眼下の景色を塗りかえ、建ち並んだ家々の色や工場、丘の上までのびた舗装道路は山の様子を一変させました。
　ふと幼いころを思い出します。祖父は早朝欠かさず日の出の方向へ直立して手を合わせ、何かをつぶやきながらじっと祈るのです
それから空を見上げ、風と雲と富士山の表情を伺い天気を占うのでした。
　さて、時たって街の風景は変わっても、富士山は雄大にすそを広げ、昔と変わらぬ初夏のたたずまいを見せています。

☆今回から5日号で、富士の型染「わが心のふるさと富士山」をシリーズで掲載します。温かな、淡い色合いをお見せできないのが、何とも残念です。でも、作者の富士山に寄せる熱い思いは、十分におわかりいただけますよね。
☆田子浦の渡辺高章さんから電話がありました。4月5日号の「燗をつける道具」は、「チロリ」と呼ぶのではないかとのお話。ありがとうございました。

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