竹を割るナタ
間門(まかど)の山本吾作さん(89歳)は、現代版竹取りの翁(おきな)。つい最近まで竹やぶに行っては竹を切り、お茶の葉っぱを入れるかごや、しばかごをつくっていました。
山本吾作さん(間門)
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市内では、竹かごを編んでいる人を、ほとんど見かけなくなりました。山本さんは、伝統の技術を伝える数少ない一人です。
仕事をやめてしまったのは、お茶を栽培する農家が、もう茶かごを必要としなくなったことや、山本さん自身も、目が悪くなってしまったからです。それでも、竹を割る道具の「ナタ」や、竹を曲げるのに使う「ノミ」など「さびらかいちゃあ」と、手入れは怠りません。道具は今でもピッカピカです。よく手入れされた道具は、竹を割るとき「シューッ」と、とてもいい音がします。
山本さんは、17歳くらいのとき近所の人から習って、後は自己流。農具がほとんどでしたが、頼まれれば「ソバアゲザル」や「背負いかご」も編みました。材料の竹はモウソウダケ。3年物が最もよく、切り出しは11月ころから。この時期の竹は、身が締まっていてつくるのが楽だし、虫もつきにくいのだそうです。
山本さんは、専らゲートボールの毎日。技術を受け継いでくれる人はいません。