風と光と波に心を塗り込む画家
野沢秀典(のざわ ひでのり)さん(滝戸・37歳)
- 写真あり -
緑の風が渡る家。
岩松北小学校の近くに、しゃれた家が建っています。ここは、小さな画廊を兼ねたアトリエ「虹の家」。野沢秀典さんが両親から離れ、自立に向かって生きる場所です。「どれだけ自分で自分のことができるか」と、かけの意味もあったそうですが、ひとり暮らしも既に5年が過ぎました。
野沢さんは、2歳のとき脳性麻痺と診断されました。養護学校小学部に入学して半年目、原因不明の発熱。以来車いすの毎日です。
「虹の家」は車いす用に設計され、玄関を入ると小さなホールがあります。窓の外は一面の田んぼ。緑の風が渡ってきます。野沢さんは、ここをもっと「何らかの障害を持つ仲間たちの『集いの場』にしたいし、大勢の人との『ふれあいの場』にしたい」と思っています。
風と光と波と。
秋は、野沢さんにとって体の調子のいい季節。それでも、「指がだんだん動かなくなってきている」から、午後は、調子を見ながら絵を描いています。テーマは、風と光と波。当面の課題は、緑から茶につながる色をつくり出すこと。「黄緑であったり、オレンジと茶の組み合わせの色であったりとか」。
個展を開いても売れない絵。「売れる絵を描いたら、画家としておしまい。心を表した絵を描いていたら、いつか、だれかわかってくれる」。これは、自立に向かって生きる野沢さんの、もう一つの、かけなのです。