こうもり傘直し
修理するよりも、新しい品物を買った方がいいと言われる使い捨ての時代に、井上林造さんは、こうもり傘の骨を直すのが商売。「もうからないけどね」と笑います。
井上林造さん(伝法)
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「手間賃だけをもらう仕事だから、こうもり直しだけじゃあやってけないよ。附属品なんかも安いもんだしさ」それでも続けているのは、一度直すと、必ずまた持ってくるお客さんがいるから。「遠くから来るよ。松岡、根方、芝川からも」
「直す道具って言ったって、どこの家にもあるもんだよ。ペンチ、ヤットコ、金づち、きり、ドライバー」。これらの道具は、小さな机の上にきちんと並んでいます。「骨の折れたのを直すのは簡単だけど、心棒はちょっと大変。直るとみんな喜んで持っていくし、どんなものでも大抵直るね」。使えるものは、直して使う。これが、井上さんの職人としての心意気です。
「使い捨ての時代だから、骨が一本でも折れると捨てちゃうみたいだね。だんだん修理して使う人も少なくなったけど、それでも梅雨や秋雨のころは忙しいね」体の続く限りは頑張りたいと井上さん。「福祉施設のこうもりなんかは、無料で直してやりたいね。直せば、まだ使えるものが多いんだから」。