らしくないお医者さん 地域医療に尽くす
椎名富子(しいな とみこ)さん(原田)
- 写真あり -
相談相手のお医者さん。
椎名富子さんは、明治45年生まれの79歳。現役で活躍する内科のお医者さんです。椎名さんは、モダンなおばあちゃまといった感じ。すてきな洋服をサラッと着こなして、趣味は、観劇とクラシック音楽を聞くこととか。昭和29年に開業して以来、長く診ているおじいちゃんやおばあちゃんの相談相手ともなっています。
らしくない人。
「早苗ちゃん(娘)がね、体にいいからって嫌いなのに、ピーマンやニンジンを細く切って出してくれるの。食べないで残しておくと、また出してくれるのよお。クリスチャンだから、お酒の色も知らなかったくらいなのに、夫に教わって中瓶一本の晩酌。おすしだったら、昼でもビールがほしいわ」
地域医療に尽くして。
お医者さんになったのは、義兄に勧められたから。「世の中、男みたいな医者は大勢いるが、富子は、女らしくやさしい医者になれるだろう」と。
毎日午前9時から午後5時まで診察。多い日には、30人くらいの患者さんを診ます。「私のような者でも、『どうしても』って車で来る人もいるし、『先生に助けられました』って何人かがお盆や暮れに来てくれるの。感謝されてるだけでありがたいし、生きがいよ」。
「女も職業を持った方がいい」これは、母親から受け継いだ椎名さんの持論。地域医療に、なくてはならない人になりました。