唐(から)びつ
富士岡渋脇町の石田治さんに、古い「唐(から)びつ」を見せていただきました。
唐は、唐(とう)の国(昔の中国)のことですが、もっと広く外国から渡来した意味をも含んでいます。
石田治さん(富士岡)
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石田さんは、古いものを取っておくのが趣味。あるとき、物置を整理していて見つけたのが唐びつ。「たしか、こう呼んでいた覚えがありますが−」。
唐びつはちょうど海賊が金貨や銀貨を入れておいたような形で、横が77センチ、高さ38センチ、幅は45センチあります。外側全体は、ブリキを打ち出した細かい花模様です。ふたをあけると、中にかわいい外国人の女の子の絵。それもそのはず、これは石田さんのおじいさんが、アメリカのアトランタから買ってきたものです。
おじいさんの名前は、石田五郎右衛門さん。手もみ茶をつくり、お茶の輸出の仕事に携わっていました。おじいさんの記録によると、明治28年に渡米して、アトランタへ行ったと書いてあります。ここで「博覧会」が開かれ、バザーでお茶を売ったり、外国人の口にも合うように、日本茶に砂糖を入れて飲ませたそうです。
その後、何回も唐びつは太平洋を横断しています。きっと、珍しい土産物がいっはい詰まっていたことでしょう。