柳ごうり
武内為子さん(平垣町)
- 写真あり -
柳ごうりは、コリヤナギの皮をはいだ枝を編んでつくったもので、主に、衣類などを入れます。
竹と柳がありますが、柳ごうりは、今ではほとんど見られなくなりました。
平垣町の武内為子さんは、兵庫県の豊岡出身。豊岡は昔、こうりの産地。為子さんの実家は、柳ごうりの問屋さんで、宮内庁の御用商人でした。
昭和4年、為子さんは富士市に嫁入りします。そのとき、着物を入れてきたのが、寄贈していただいたこの柳ごうりです。
「大きさは大、中、小の3種類あって、これは中の大きさ。こうり一つで、たんす一さおって言われるくらいよく入ります。
戦争中には、五つのこうりの中に荷物を入れて、山梨や岩本の親類に預け、随分と重宝しました。先日テレビを見ていたら、たまたま柳ごうりをほしいって人が出ていて『家にくれば上げるのに』と思い、博物館に寄贈すれば、役立つかなと」。
豊岡でも今は皮のかばんにかわってしまって、職人さんも、一人いるかいないかだろうと話してくれました。
空気の通りもよく、着物の保存には適している柳ごうり。やわらかく手になじんで手づくりの温かさがあります。