蛍の人工飼育にかける「富士ほたる愛好会」の会長
遠藤矢一(えんどう やいち)さん(吉原3・60歳)
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人工飼育の蛍。愛鷹山麓のすそ野に広がる桑崎。ここで農産物研究所の看板を掲げ、無農薬茶の栽培などをしながら、ゲンジボタルを育てている「富士ほたる愛好会」の初代会長遠藤矢一さん。
ジーパンに合うブルーの綿シャツに、真っ赤なチョッキ。どこか、土と生きる陶工の雰囲気。
「川は、水が流れる場所から、水を流す場所に変わってしまった。蛍の繁殖は、決して難しいことではないけれど、今のままでは無理。しばらくの間は、人間が手伝ってやらないと」。わき水を引き込んだ人工のせせらぎ。蛍のえさ、カワニナの育つ環境です。
森の蛍。愛好家の当面の活動は、5月の蛍募金運動。6月には、桑崎の蛍を中央公園に放つ蛍祭り。しかし、ことしは水温の低い時期もあったから、蛍が少ないのではと心配しています。
一匹のゲンジボタルが産む卵は、大体500個。ほとんどが幼虫になり川に入ります。カワニナを食べサナギになるのですが、この時の水温が大きく関係し、サナギになるのは1割くらいだろうと、遠藤さんはにらんでいます。「課題は水温の管理だ」と。
6月、羽化した蛍が、桑崎浅間神社のこずえにとまります。
「蛍は、森の中で見るのが一番きれいだ」と遠藤さん。ここは、ライトもネオンもありません。幻想的な蛍の光が、眠っている童心を揺り起こしてくれるかもしれません。