チャヤナ
「チャヤナ」は、方言。昭和22年ころまで、野良に持って行く水筒のことを、こう呼びました。
方言には、人の心をぬくめるなつかしい響きがあると思いませんか。
芹沢寿夫さん(伝法2)
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伝法2丁目の芹沢寿夫(せりざわとしお)さんが、市立博物館へ「チャヤナ」を寄贈してくださいました。
「チャヤナって、どう書くのかねえ。昔っからそう呼んでたんでー」と、芹沢さん。ふたを閉めたおひつに、飲み口がついたようなもので、水が3リットルは十分に入ります。
「なにしろ、野良で飲む1日分だからそれくらいはないとね。昔は、十時にはお昼を食べ、2時には“ゆうじゃ”。これで、手も洗ったりさ。担ぎ俵の中に、肥料やくわと一緒にチャヤナも入れて、てんびん棒で担いで行ったよ」。
チャヤナは、サワラの木でつくられ、直径は28センチ、高さは20センチあります。水を入れるところには、キリの木の“ポッチョ”。飲み口は、竹です。
「昭和17年ころかなあ。今はもうやめている宮川町のおけ屋でつくってもらったもの。大きさは、家族の人数でも違ったね。その当時、水道は引かれてなかったから、共同井戸まで水をくみに行ったよ。水は、貴重品だったね」。のんびりとした田園には、水筒よりもチャヤナの方が、似つかわしい呼び名かもしれません。