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【広報ふじ平成3年】富士・愛鷹山麓地域環境管理計画きまる

市民のための土地利用を最優先に!

こんなまちをつくりたい  自然・風景と人間との共生

風景
 今ある富士・愛鷹自然風景が損なわれることなく、そのままの姿で保たれていること。
経済林
 木材としての価値や公益機能が高められ、富士・愛鷹山麓の風景と調和のとれた美しい森林として存在していること。
動植物
 豊かな自然環境が保たれ、多くの動植物が生息していること。
土壌
 すべての生物が、健全に生きられる汚染のない土壌が確保されていること。
地下水
 市民生活や産業活動にかけがえのない、清らかで豊富な地下水が十分確保されていること。
利用
 まちづくりの基盤整備と、市民が、より充実したアウトドア・ライフを享受するための必要最小限の利用であること。
自然林
 こんもりとした鎮守の森、四季を彩る自然の林や雑木林が、地域のみどり、生活空間として、点在していること。
大気
 森林などによる自然の浄化機能が発揮され、さわやかできれいな空気が確保されていること。

 一昨年から策定を進めていた「富士・愛鷹山麓地域環境管理計画」が、3月1日にまとまりました。この計画は、世界に誇る富士山などの自然を守りながら、21世紀に向けた豊かな市民生活のために活用しようというものです。
 また、計画を推進するに当たり、当分の間5,000平方メートル以上の土地利用事業申請の受け付けを、保留することになりました。
 今回は、計画に関係する考えや対応について、お知らせします。

自然環境の保全を前提に節度ある利用

 富士・愛鷹山麓は、新幹線や東名高速など交通網の整備に伴い、首都圏などからのお客を見込んだ、開発の好適地とされています。そのため、森林地域にゴルフ場建設を主体とする土地利用申請が相次ぎ、これまでに8件、合計約1,000ヘクタールの申請がありました。
 しかし環境管理計画では、計画対象面積6,800ヘクタールの内、重度開発(森林を伐採し裸地にする)の限度を250ヘクタールとしています。また、原則として「富士市のまちづくり」のための開発を優先させることにしています。
 そこで、3月18日に土地利用事業についての行政指導方針を打ち出し、申請のあった8件の土地利用事業計画に対し、事業の取りやめ勧告を出すなど、自然環境の保全と節度ある利用を図ることとしました。

 行政指導方針
 富士・愛鷹山麓地域環境管理計画区域内における土地利用事業は、公共施業によるもの、公共事業に関連するもの、行政機関の参画するもの、及び公共的団体または公益的団体によるもので市長が認めるものを除き、5,000平方メートル以上の土地利用事業については、当分の間、土地利用事業の申請書の受付を保留します。


市民生活優先の土地利用を

 それでは、環境管理計画では、どのような開発を考えているのでしょうか。市の発展や活性化などにつながる、まちづくりの基盤整備と、自然の中で、質の高い生活を楽しむための、市民生活を優先した土地利用です。
 基盤整備としては、企業、研究機関などの技術開発研究所、公的試験研究機関、産業展示館、情報図書館など、未来を見つめる「頭脳集積センター構想」や、霊園、住宅などが考えられます。
 また、生活の質を高めるための整備としては、音楽、美術、演劇などを楽しむ「芸術村」、自然との触れあいを中心とした「自然博物館」などが考えられています。


多機能型新都市とこどもの国

 具体的な土地利用としては、県と地域振興整備公団が進めている「多機能型新都市」の建設があります。また、県で建設を予定している「こどもの国」の誘致も進めています。

多機能型新都市
 多機能型新都市は、環境管理計画の中で、都市の基盤整備の一つに当たります。また、一般的には、ビジネスや住宅、リゾート施設など、職・住・遊・学を備えた近未来型の都市を言います。
 昨年度、県と地域振興整備公団が富士・御殿場・裾野の3市で予備調査を進めた結果、今年度富土市で、建設に向けての基本調査が、行われることになりました。

こどもの国
 「市民生活の質的向上」のための施設となるこどもの国は、横浜市や甲府市など、全国に11か所あります。これらの施設は、子供たちが家族や友達と一緒に楽しみながら、心の豊かさや創造力、また思いやりの心をはぐくむなど、これからの人づくりを目的につくられています。その一つに、地球人として、自然とつき合うマナーを学ぶための野鳥、植物、昆虫、地質など、自然観察のための施設があります。また、自然の厳しさや、やさしさを体験しながら体を鍛えるフィールドアスレチックやオリエンテーリングの施設などが整備されています。
 誘致が決定したときには、富士・愛鷹山麓の豊かな自然を十分活用した、こどもの国の建設を考えていきます。


計画目標達成のための事業

 環境管理計画の目標を達成するために、平成3年度は次のような事業を行います。

森林の公益的機能を高める
 市域の約50%は森林ですが、その内、80%がヒノキの人工林です。森林には、地下水の涵養機能や大気の浄化作用などがあり、優良な森林を守り育てることが、私たちの生活を守ることにつながります。
 一般的に、自然林は人工林と比べ、動植物の種類が多く、新緑、紅葉など四季の変化に富み、公益的機能が高いと言われています。しかし、人工林も除・間伐、枝打ち、下刈りなど、適切な施業管理を行うことで、林床に多くの下草が生え、地下水涵養機能などの公益的機能は、自然林に劣らないものになります。
○除・間伐、枝打ち、下刈りなどに補助金を出し、森林育成の援助をする。
○林道沿に落葉広葉樹を植えて景観を高め、市民に親しまれる森林づくりに努める。

土壌・地下水の保全
 全国的に問題となっているゴルフ場の農薬、また本市の宿命といえる、ペーパースラッジ焼却灰等の埋立てなどの課題があるため、山麓地域の土壌や地下水汚染防止に力を入れます。
○ペーパースラッジ埋立処分地浸出水の水質調査
○ゴルフ場農薬調査
○地下水帯水層別の流動量基本調査
○酸性雨観測整備事業


皆さんのご協力を得るために

 環境管理計画ができあがるまでには、大学の先生などで組織した委員会で調査・検討を行いました。また、公開セミナーやシンポジウムを、市民の皆さんに参加してもらい開催しました。さらに、それらの内容を広報紙などでお知らせしてきましたが、今後は、この計画についてのパンフレットの全戸配布と、公民館単位での地区説明会を開催していきます。
 この計画を円滑に推進できますよう、市民の皆さんのなお一層のご理解とご協力をお願いします。

問い合わせ 政策推進室 内線2831
- 図表あり -
( 図表説明 ) 計画対象地域の概要図
- 写真あり -
( 写真説明 ) 丸火の二次林は、自然の宝庫
( 写真説明 ) 美しい富士山を、そのまま後世に引き継ぎたい
添付ファイル
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