春3月。やわらかな日差しの中で、桃のつぼみも膨らんでいます。
ひな祭りも、もうすぐ。初節句のお宅では、ひな人形の飾りつけはもう終ったころでしょうか。
ひな人形
山崎勇さん(緑町)
- 写真あり -
ひな人形たちは、3月になると深く、静かな眠りから目覚めます。内裏びな、三人官女、五人ばやしたちは、赤い毛せんの上に、桃の花と一諸に飾られます。ひな祭りは、女の子のお祭り。桃の節句とも呼ばれます。
緑町の山崎勇さんから、昭和24年当時のひな人形をいただきました。「女の子が生まれて、太陽のように明かるく育つように陽子とつけました。この人形は、そのとき買ったもの。原の“桃里”に親類があって、つぼみの桃を譲ってもらったりして−。ひな祭りが近づくと、もちをついたね。草もちと白と赤の3色。“桃花酒”(とうかしゅ)も飲んだ覚えがあるね。」
長女の陽子さんは、結婚して今では一男一女のお母さん。「小学生のときには、妹と一諸にお道具類で遊びました。母は、早く幸せな結婚ができるようにと、お彼岸前に飾って終るとすぐにしまっていました。きちょうめんで、子供のしつけも厳しい人でした。人形を見ていると、母のことを思い出します。」
丁寧に保存されてきた人形。その一つ一つに、長い年月のさまざまな深い思いも、つづられているようです。