俵を編む道具
農家にとって今も昔も変わらぬものは、豊作を祈る心。
冬の間にお百姓さんたちは夜なべ仕事で、せっせと米俵を編みました。春になれば、すぐに始まる農作業のことなど考えながら。
杉崎 仁さん(船津)
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船津の杉崎仁さんに、25年ぶりに米俵を編んでいただきました。「なにしろ久しぶりだから、うまく編めるかどうか心配で、ゆうべは寝むれなかったよ」と言いながらも、手は休みなく動きます。
木づちで丹念にたたいてやわらかくなったわらを、12本くらい手に取って、幅が2センチくらいの板の上に置きます。このわらを、縄で締めていくのですが、厚さが平均になるように、根元の方を左と右とに交互に積み重ねていきます。
規則正しく動く手元をじっと見ていると、タイムスリップしてしまいそう。
俵を編む道具は、とても簡単なものです。二またの木が一対と、幅が2センチで長さが90センチくらいの板が1枚。それに「こもつり石」と呼ばれる細長い石が10個。これだけです。
杉崎さんは、編むよりもわらをたたくのや縄をなう方がよっぽど骨の折れる仕事だったと言います。また、今のわらは品種改良されて20センチは短くなっているから、もう米俵はできないと。
米俵もつくられなくなれば、昔のように稲の丈も必要ないのかもしれません。