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【広報ふじ平成3年】博物館からレポート まだ一度も見学したことのない人が50%も

博物館アンケート調査から

 開館10周年を迎えた市立博物館は、昨年市民3,000人を対象にアンケート調査を行いました。調査は、博物館の利用状況、希望などをお聞きし、「市民に親しまれる博物館づくり」の参考にするためのものです。
 1,200人の回答をいただいた結果、一度も見学したことのない人が半数もあることがわかりました。
 アンケート結果、博物館の対応などについて、伝法の蓬莱好子さんにレポートしてもらいました。

レポーター 蓬莱好子(ほうらいよしこ)さん(伝法・主婦)
滝戸雅人・美智代御夫妻と彩花ちゃん(中野)
村松泰明さん(今泉)
熱心にお話をしてくれた伊東雄太郎館長(右)
志村 博 学芸員
荻野裕子 学芸員
- 写真あり -

まず広見公園でインタビュー

蓬莱
 博物館でお話を聞く前に、広見公園に来ている人にインタビューしてみました。
 初めは、中野にお住まいの滝戸さん御夫妻のお話しです。「博物館を見学したことはありません。子供が大きくなったらと思っています。私は、公園にはよく来ますが主人は初めてです。歴史民俗資料館はよく見ています。4月に全戸配布したという年間行事案内は、記憶にないですね」
 次は、今泉の村松さんのお話しです。「今日初めて、家族と一緒に博物館を見学しました。子供が3歳なのですぐ飽きてしまい、15分ほどで出てしまいましたが、これからも、公園とセットで利用したいですね」
 アンケートの調査結果を裏づけるように、2人に1人は見学したことがないとのことでした。
 それではいよいよ、博物館でお話を伺います。


 PRに力を入れます

蓬莱
 初めまして、蓬莱と申します。博物館のアンケート調査結果を見せていただきましたが、「知らないから・わからないから見学してない」という人が多いことがわかりました。そこできょうは、博物館のPRを兼ねてお話をお聞きしたいと思いますので、よろしくお願いします。
伊東
 館長の伊東です。よろしくお願いします。
蓬莱
 開館10周年とのことですが、50%の人がまだ一度も見学したことがないんですね。
伊東
 これまでに28万人の入館者がありましたが、残念ながらそのとおりです。理由としては、「博物館があることや場所、内容を知らない」「交通が不便」「忙しい」などが主ですね。
蓬莱
 「忙しい」以外は対策がありそうですね。
伊東
 はい。まずPRに力を入れる必要がありますね。これまでも「年間行事案内」を全戸配布し、展示会のたびに「広報ふじ」でお知らせしてきましたが、さらに徹底したPRをしたいと思います。
蓬莱
 実は、私も独身のころは関心が薄かったんです。アンケート結果でも、20代の見学者が少ないようですが。
伊東
 20代の73%は一度も見学してません。そこで、若い人の集まるコンサートなどでパンフレットを配るなど、積極的な対応も考えたいと思います。
 また、年間行事案内やパンフレットも、位置図やバスの案内を入れてつくり直したいですね。とって置きたくなるようなのを。
蓬莱
 パンフレットを新富士駅で配れば、県外の人も来てくれるかもしれませんね。
伊東
 もちろん、駅や銀行にも置きたいと思っています。


バスの便をよくしたい

蓬菜
 交通の便が悪いという意見が多いようですね。
伊東
 はいそのためか、ここから遠い田子浦、富士南、浮島、天間地区の見学者が少ないんです。
蓬莱
 一番近いバス停はどこですか。
伊東
 東に300メートルほど行った「広見団地入口」で、徒歩5分です。吉原中央駅からバスが出てますが、富士駅や吉原駅などからの直通バスがないんですよね。「静岡の方が早く行ける」という意見もありました。
蓬莱
 お年寄りや主婦、子供たちのためにも、バスの便をよくしたいですね。
伊東
 博物館の前にバス停もほしいし、バス会社と交渉してみます。


10代は80%以上が見学

蓬莱
 年齢別で見学者が多いのは、10代の80%ですね。
伊東
 10代が多いのは、小学校の社会科の授業で見学に来るからです。昭和56年以来、毎年2,000から4,000人が見学し、合計3万8,000人にもなります。
蓬莱
 調査対象者は、11歳から89歳までですから、70年後にアンケートをとれば、ほぼ100%見学したという結果になりそうですね。(笑)


展示会も工夫を凝らして

蓬莱
 見学するきっかけで多いのは、「広報ふじを見て」と「人から聞いたり誘われて」で、それぞれ20%代ですね。
伊東
 聞いたり誘われて、というのはうれしいですね。親しみやすく、興味のある展示会や展示物があったので、誘ったり話をしたということだと思います。
蓬莱
 私も見ましたが、「富士山写真展」は人気がありますね。
伊東
 それに、紙や考古の関係も人気もありますし、美術展を望む声も多いんです。
蓬莱
 富士市出身の日本画家「井上恒也展」がありましたね。
伊東
 ことしも「郷土の作家展」の中で考えたいと思っています。
 さて「展示内容がわからない」という声も多いので、職員に御案内させましょう。
蓬莱
 よろしくお願いします。


展示会は年に8回

志村
 こんにちは、学芸員の志村です。2階の展示室を御案内します。
蓬莱
 よろしくお願いします。ところで、学芸員はどんな仕事をするんですか。
志村
 調査・研究・展示が主な仕事です。
 ここが企画展などの展示会用の部屋で、今「曽我物語」をやっています。
蓬莱
 あなたの担当ですか。
志村
 いいえ、私は考古担当ですから。3人の学芸員で、考古、歴史、美術、民俗を分けて担当しています。
蓬莱
 展示会は、いつもやっているんですか。
志村
 展示会は毎年8回ぐらいで、1回2週間から6週間です。間に準備期間が入りますから、そのときは常設展だけになります。


紙の展示をより系統立てて

志村
 こちらが紙の常設展示場です。今は和紙と洋紙が一緒になっていますが、洋紙に絞って、より系統立てた展示にしたいと思っています。
蓬莱
 常設展の展示替えも、時々するのですか。
志村
 5年をめどに展示替えを考えていますが、最近ディアナ号の模型が入り好評を得ています。
蓬莱
 少しずつでも替わるといいですね。
志村
 はい。頑張ります。


古代から明治まで

志村
 次は、古代から明治までの富士市の移り変わりを中心に展示してある、一番大きな部屋です。
蓬莱
 富士市には、たくさんの遺跡や古墳があると聞いてますが、展示してあるのは、そこで見つかったものなんですか。
志村
 ほとんどのものはそうですが、本物そっくりにつくったものもあります。(説明を受け一周後)
蓬莱
 吉原宿の茶店の人形は本物みたいでしたね。
志村
 実はね、人間の顔の型をとってつくってあるんです。
蓬莱
 ボタンを押すとテープで解説が流れるのもあったし、解説を読むとかなり時間がかかりますね。
志村
 5本のビデオが見られる部屋もありますので、時間をかけて見学してもらいたいと思います。
蓬莱
 見学者も、説明してもらうとわかりやすいですよね。
志村
 できるだけ御案内したいと思っていますので、受付でお尋ねください。
 次は荻野学芸員に、外の歴史民俗資料館を案内させます。


復原家屋など全体が歴史民俗資料館

荻野
 こんにちは、荻野です。
蓬莱
 よろしくお願いします。あなたのご担当はなんですか。
荻野
 はい。民俗を担当していまして、来年「はかる」をテーマに展示会を企画するんですよ。
蓬莱
 物差しとか、はかりですか。
荻野
 そうです。人間の知恵という観点から考えたいと思います。
蓬莱
 見に来たいですね。
荻野
 どうぞいらしてください。
 それでは御案内します。
蓬莱
 歴史民俗資料館という、建物はないですよね。
荻野
 はい。眺峰館、杉浦医院、古墳など、失われつつある貴重な文化財を移築復原したもので、全体を指してそう呼んでいます。
蓬莱
 ここは、広見公園の中ですよね。
荻野
 博物館も含めて、みんな公園の中です。桜の時期は、すごくきれいですよ。


樋代官(とよだいかん)屋敷も仲間入り

蓬莱
 奥の方で工事をしていますが、何をつくっているのですか。
荻野
 厚原で樋代官を勤めた植松家の住宅と、伊藤博文の養子が興津に建てた独楽荘(どくらくそう)の石倉です。4月になったら見に来てください。
蓬莱
 そうしたいですね。
荻野
 アンケート調査では、この資料館を知らない人が、50%もありました。無料ですから、公園に来たついでに寄ってくれるといいんですけど。
蓬莱
 中に入れるのもあって、楽しいですよね。
荻野
 じゃあ最後に、工芸室を御案内します。


自分でやってみたい人のために

荻野
 工芸室では陶芸、富士の型染、手漉(すき)和紙教室が開かれます。
蓬莱
 昼間だけなんですか。
荻野
 陶芸だけは昼と夜がありますが、あとは昼間だけです。
 それと、体験学習をふやして、という声もありますので、子供を対象に「米づくり」も予定しています。田植えから食べるまでなんですけど。
蓬莱
 自分でつくって、自分で食べる。楽しいでしょうね。まだほかにありますか。
荻野
 紙人形などをつくる「紙の工芸教室」、「古墳めぐり」なども考えています。それに「考古学講座」も開かれます。広報紙で募集のお知らせをしますので、申し込んでいただきたいですね。
蓬莱
 いろいろと教えていただきありがとうございました。

 博物館は、アンケート調査の結果を参考に、より親しまれる施設を目指して動き始めています。私も今回のレポートを通じ、「身近な博物館」という感じを強く持ちました。
 これで私のレポートを終わります。
- 写真あり -
( 写真説明 ) 小学6年生が友達と一緒に
( 写真説明 ) 後ろに眺峰館と杉浦医院
( 写真説明 ) 曽我物語は3月17日まで
( 写真説明 ) 昔は小さな機械で(抄紙機・2分の1模型)
( 写真説明 ) 名物は、白酒、ねぎぞうすい、ずいき
( 写真説明 ) 縄文時代の生活を再現したジオラマ
( 写真説明 ) 樋代官長屋門
( 写真説明 ) 陶芸教室終了者が集まって
( 写真説明 ) 竪穴住居の中


利用案内
◆博物館
○開館時聞 9時〜17時 *11月〜3月は16時半まで
○休館日  月曜日と祝日の翌日
○入館料  大人100円、子供50円
◆歴史民俗資料館
○入館無料
◆交通(バス)JR富士駅・吉原駅・新幹線 新富士駅から吉原中央駅行 吉原中央駅から3番線(大渕団地行、茶の木平行等)で広見団地入口下車、徒歩5分
◆問い合わせ 電話21-3380
- 図表あり -
( 図表説明 ) 案内図

市民文化財めぐり
とき  3月25日(月曜日)予備日 27日(水曜日)
対象者  市内在住・在勤の人
募集人員 100人(申し込み順)
参加料  大人1,000円 小人500円
持ち物  昼食、水筒、雨具など
申し込み、問い合わせ 3月13日(水曜日)から15日(金曜日)までに参加料を添えて、文化体育課へ 内線2722
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広報広聴課 (市庁舎8階北側)
電話:0545-55-2700 ファクス:0545-51-1456
メールアドレス:kouhou@div.city.fuji.shizuoka.jp
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