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【広報ふじ平成3年】ふるさとの昔話

千鳥町の人助け稲荷のキツネ

 今回は前回に引き続き、千鳥町(富士南地区)の「人助け稲荷」について、地元の石川雅也さん(54歳)に伺いました。

流れ着いた稲荷さん

 昔々のことです。富士川がはんらんし、千鳥町の一帯も水浸しになりました。地区の人々が逃げ込んだ小高い場所の林には、お稲荷さんが流れ着きました。
 村人たちはありがたがって、「よくおいでくださいました。どうぞ、この土地の守り神になってください」と、ほこらを建ててお祭りしました。それで、この島を稲荷島と言うようになったと言われます。
 また、いつのころからかキツネも多く住むようになりました。このキツネたちに村人はよくだまされましたが、ひどく憎んだり、いじめたりすることはありませんでした。と言うのも、キツネはお稲荷さんの使いですし、キツネに助けられたこともあったからです。

ごちそうのはずが…

 ある夜、四軒屋の熊さんが宮島のお祭りによばれての帰り道、お稲荷さんの前を通りました。
 横の川では、夜のことですから姿は見えませんが、魚がいっぱいいるらしく、ガシャガシャ音がしていました。
「ようし、いっぱい取ってやろう」と熊さんは、赤飯やらおすしの入ったお重をそばに置いて、川にザブザブ入っていきました。ところが魚は一匹もいません。
「おかしいなあ。こりゃあキツネに化かされたかな」と思って、お重を持って帰りました。
 家に帰って、お重をおかみさんに渡して、びっくり仰天。
「お前さん、こりゃあ、どういうわけだい」
 お重の中身は何と、土と石ころだったのでした。熊さんは歯ぎしりして悔しがりました。
- 写真あり -
( 写真説明 ) 石川さん
( 写真説明 ) 人助け稲荷
- 図表あり -
( 図表説明 ) 地図
添付ファイル
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