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【広報ふじ平成2年】ふるさとの昔話

柏原のキツネ山

 元吉原地区の柏原に、キツネ山と呼ばれる所があります。ここには昔、キツネが住んでいて、たくさんの人が化かされました。今回は、中柏原新田の高木博さん(79歳)に伺った「キツネ山」のお話です。
- 写真あり -
( 写真説明 ) 高木博さん
( 写真説明 ) 現在のキツネ山

昔は火葬場

 JR東田子の浦駅の東側、菊栽培のハウスが建ち並ぶ間に、30坪ばかりの荒れた土地があります。ここは、キツネ山と呼ばれ、約30年ぐらい前まではこの地域の火葬場となっていました。火葬場といっても現在の斎場のように立派な施設ではありません。野天で、薪(たきぎ)を組んでお棺を乗せ、長い時間をかけて火葬をした場所でした。
 また、近くに家はなく、周りは麦などの畑になっていました。

麦畑でおぼれる

 昔々のこと、キツネ山のそばで麦をつくっている松さんが、夜おそくなっても家に帰ってきません。
 「どうしたんだろう」心配した漁師の源さんたちが捜しに出かけました。
 「松さーん。松さんやーい」と、呼びながらキツネ山まで来ると、近くの麦畑がガサガサ揺れています。なんと松さんは麦畑の中をぐるぐるはいずりながら、「あー深い、あー深い」と言い 泥だらけになっているではありませんか。
 「松さん何をしてるんだ!」源さんが大声でどなると、松さんはキョトンとした顔をして我に返りました。松さんは、キツネに化かされたのでした。

ようし、おれが…

 それからも、キツネに化かされた人が相次ぎました。源さんは「ようし、おれがキツネを取っ捕まえてやる」と勇んで、キツネ山に出かけていきました。
 ところが、いつまでたっても帰ってきません。村人が見に行くと、源さんも「あーこの川は深い。あぶ、あぶ」と、すっかり化かされていました。
- 図表あり -
( 図表説明 ) 地図
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