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【広報ふじ平成2年】ふるさとの昔話

浮島町のお薬師さん

 浮島町に「お薬師さん」とか「薬王さん」と呼ばれているお堂があります。ここには薬師如来が祭られており、地域の人々の信仰を集めています。今回は、浮島町一の高橋武次郎さん(74歳)にお話を伺いました。
- 写真あり -
( 写真説明 ) 高橋さん

落馬させるお薬師さん

 昔々のことです。愛鷹山の山すそに延びる根方街道は、東西を結ぶ重要な道でした。
 お薬師さんは浮島の根方街道から、ちょっと北へ入ったところにあり、その昔は中尾山薬王寺という真言宗のお寺だったといわれます。
 御本尊の薬師如来の霊験はあらたかで、参道前の根方街道を馬に乗って通ると、必ず落馬するといわれました。実際に落馬する人が相次いだためでしょうか、いつしか仏像の背を街道に向けて、安置するようになり、今もそのまま置かれています。
 また、参道東側には清水がこんこんと湧き出ている池があります。この池の水を目に当てると目の病気に効くといわれ、多くの人が訪れたものでした。

病人の回復を祈る

 あるとき、浮島の人が病に倒れました。部落のみんなはお薬師さんに集まり、ろうそくを上げ、太鼓をたたいて回復を祈りました。「おんころころ せんだりまとうぎょうそわか」とお経をろうそくの消えるまで何回も唱えました。長老は、ろうそくのとぼれる状態によって病状を占い人々は、また熱心に唱えました。高橋さんの子供のころまで、このお祈りは続けられましたが今は知る人も少なくなりました。

16年に1度御開帳

 現在の様子を高橋さんは「4月16日に祭りが行われています。御本尊は高さが50センチぐらいで、梅の一本づくりです。破壊が進んでいますが、厨子(ずし)に納められ、16年に1度御開帳されます。お経は今でも言えますよ」と話してくれました。
- 写真あり -
( 写真説明 ) お薬師さん

- 図表あり -
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