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【広報ふじ平成2年】ふるさとの昔話

中丸のなみよけの松

 中丸(田子浦地区)の浜幼稚園の西側付近に「なみよけの松」と呼ばれる大きな松があります。今回は、この松の話を中丸浜の遠藤利政さん(67歳)に伺いました。

- 写真あり -
( 写真説明 ) 遠藤さん
( 写真説明 ) なみよけの松

台風が来ないように

 田子の浦海岸の堤防は、今でこそコンクリート製で、大変高く頑丈になっていますが、昔は砂の袋を積み上げただけの堤防でした。ですから、大さな波が来るとひとたまりもありません。
 人々は、毎年秋になると「台風が来ませんように」と祈り、風よけ、波よけになってくれる松をとても大切にしていました。


切れた堤防

 明治32年10月7日のことです。田子の浦一帯を台風が襲いました。雨は滝のように降り、風はうなるように吹いてきます。海岸に打ち寄せる大波は、あっという間に堤防を切ってしまいました。人々は「堤防が切れたぞ」と叫びながら、高い所へ避難しました。
 逃げおくれた人々は、松の高いところによじ登り、波のおさまるのを待ちましたが、一向にその気配はありません。
 鳴り響く風や波の音を聞きながら、人々は松の木の間に棚をつくり、老人や子供を乗せました。
 ある人は、体を幹に縛りつけ、神様に祈りながら波の過ぎるのを待ちました。
 こうして多くの人が、松に助けられました。でも残念なことに、当時の面影を残す松は、今では一本だけになり、「なみよけの松」と呼ばれています。


松を見て戒めに

 遠藤さんは「津波の恐ろしさは忘れがちですが、私たちは、なみよけの松を見ては、防災意識を高めています。年に数回、地元の中学生が松の周辺を掃除してくれるとき、この話もしますが、みんな信じられないような顔をしますよ」と話してくれました。
- 図表あり -
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