富士ヒノキの間伐木加工にかける情熱 夢で終わらぬ「手のわざ」
篠原 学さん (入山瀬・54歳)
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木への愛着。
「けがは、しょっちゅうだね。この指も短くなってしまったし。素人が10年も続けてきたのは、まあ、木への愛着って言うのかなあ」プーンと木の香りのする作業所に、木工機械が2台。一日の大半を、ここで過ごします。
篠原学さん54歳は、木に囲まれた芝川町の柚野で生まれました。木登りや杉鉄砲で遊び、小さい時から下草刈りや枝打ちの作業に駆り出されたと言います。
富士ヒノキ間伐材
篠原さんは今回、静岡市でで開かれた全国しいたけ大会に、間伐材で作った“はがき”と足の裏のつぼを押える“健康棒”を出品しました。
木材センターで、富士ヒノキの間伐材の多くが切り捨てられているのを見たのが、10年前。何とか利用できないかと、湯飲みをつくり始めました。
「100個つくって、90個はだめだったね。ひび割れたり節が抜けてきたりで、使い物にはならなかった」
木は正直。どんなに丁寧につくっても、木のくせを見抜けなかったらだめになってしまいます。今では、木目も節も美しい模様となって生きています。
ぬくもり伝える器
「今度は、給食器をつくってみたい」。ヒノキの器は、軽いし冷めにくいし、何より木のぬくもりが伝わってきます。ただ、きちっと重ならないことや、水に浮いてしまうのが難点。
しかし、夢を夢で終わらせないのが篠原さんの信条。新たな情熱を燃やしています。