【広報ふじ平成2年】ごみに再び命を。リサイクルを考える
昭和・平成の貝塚になる?
ここは工事現場ではありません。
皆さんの家庭から出たテレビ・冷蔵庫などの埋立てごみや、燃えるごみの灰を埋め立てる最終処分場です。皆さんの家庭から出されたごみは、資源となるごみを除き、最終的には、富士山ろくの山林に掘られ巨大な穴に埋め立てられているのです。
富士山を愛し、郷土を愛する市民として、私たちは今のままごみを出し続けてよいのでしょうか。このままでは富士山ろくは昭和・平成の貝塚になってしまいます。
物のあふれる現代、私たちは後世に禍根を残さないように努力しなければなりせん。少なくとも、ごみの量を減らし、合理的な再利用を考え、再資源化を進めることが一つの解決方法ではないでしょうか。
今回は、皆さんとともに改めて身近かなごみについて考えてみたいと思います。
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清掃現場体験ルポ 利用価値のある物がいっぱいでした
「ごみのことは現場を見なけりゃわからない」とばかり、残暑の厳しかった9月6日、まちかどネットワーカー(地域通信員)の小笠原久美子さん(傘木)と小長井幸恵さん(広見7)に、ごみの収集体験をしていただきました。
二人が収集したのは、資源ごみの「かん・金属類」で、もちろん初めての体験。さて、二人の見た富士市ごみ事情はいかが。
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( 写真説明 ) 収集体験をした小笠原さん(左)と小長井さん
( 写真説明 ) いざ出発
( 写真説明 ) スピーディな収集作業
( 写真説明 ) くぎなどが散らばることも
( 写真説明 ) 夏休み明けとあって、いっぱいの瓶・缶
たった一回りの収集でもこんなに
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( 写真説明 ) 一番目についたのは自転車、10台ぐらいありました
( 写真説明 ) 「ちょっと見て、このフライパン焦げてるだけじゃない」と小笠原さん
( 写真説明 ) 洗濯機は埋立てごみです
( 写真説明 ) うちのよりいいみたい
( 写真説明 ) 子供のお土産にも−らった
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( 図表説明 ) ふえ続ける富士市のごみ
収集を体験して
物は豊かでも心は? 小笠原久美子さん
「まだ使える自転車が収集車にバリバリ挟まれるのを見て悲しくなりました。使えなくなって捨てたのではなく、新しい物を買ったから捨てたように見えました。地域のほしい人にあげるなどすればいいのにね。特に子供のおもちゃなど喜ばれると思うのですけれど。
また、焦げただけで捨てられていたフライパンにはびっくり。物は豊かでも心は?って思ってしまいました」
修理すれば親子の会話も 小長井幸恵(さちえ)さん
「修理をすれば使えそうな物も幾つかありました。今は新しい物を買った方が安いなんてことがありますが、少しの故障ならお父さんが直して使ったらどうかしら。子供もそれを見て親への尊敬の念や会話が生まれ、いいと思います。
それと、物は豊かでも住宅事情が悪かったり、物置がないから捨てるということもあるのではないかしら」
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だれでもできます リサイクル
あなたのちょっとした力でごみを資源に
たとえ新品であっても、流行や保管のコストなどで、ごみになってしまうのが現代。物は、その役割を果たさないまま、捨てられてしまうことが多いのです。
しかし、資源には限りがあります。現在に生きる私たちだけが消費してよいわけがありません。子孫のためにも生活を見直し、わずかでも何かをすべきではないでしょうか。
とりあえず、すぐでき、大きな効果があるのがリサイクル(再利用)一口にリサイクルといっても、いろいろありますが、幾つかの取り組みを紹介します。
人によってはリサイクルなんて言うと、難しいことのように思うかもしれません。ところが、富士市民ならだれでもリサイクルを行っています。ごみの分別収集がそうです。皆さんの家庭から出されたびん、かん・金属類は、立派に資源となっているのです。
ですから、分別収集に一層の御協力をお願いします。それからここに紹介したような活動を参考にしてほしいと思います。
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( 写真説明 ) 分別収集で集められた缶、立派な資源です
たかが空き缶、されど空き缶、空き缶で思いやりの心を。 富士中学校生徒会
富士駅北地区で、中学生が空き缶を拾いながら登校するのを見た人もいるかもしれません。
これは、富士中の生徒会が自主的に行っている空き缶ゼロ運動です。地域の美化と資源の保護につながる活動で、当初はゼロのつく日に行っていましたが、今は気がついたらいつでも拾っています。
空き缶の還元金でミニわらじをつくり、交通安全のマスコットとしてドライバーに配るなど、運動は広がっています。空き缶は思いやりの心も育てているのです。
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( 写真説明 ) 生徒会執行部と担当時田先生(右)
個人として利益はないけれど、リサイクルは大事なこと。 浅岡フミ子さん(松本)
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牛乳パックはバージンパルプ100%。古紙としては高品質の原料です。毎日1,000ccパック一本は飲むという浅岡さんちでは、牛乳パックを飲んだあと洗い、はさみで切り開いて保管しています。ある程度たまると、加入している生協で回収し、リサイクルされています。
「個人としては直接利益があるわけじゃないけど、リサイクルすることで木が守られると聞きました。トイレットペーパーなどもリサイクル製品を買うようにしています」と浅岡さん。一人一人の意識が大切です。
不用な物を生きた商品に、あなたもお越しください。 市民ふれあいバンク
「いらっしやいませ」
精神薄弱者の小規模授産所「市民ふれあいバンク」を訪ねると、元気のよい声に出迎えられます。
御存知の人も多いと思いますが、ふれあいバンクは市民の皆さんから不用な物をいただいて整備し、生きた商品に変えて、安く売るリサイクルショップ。資源の有効利用と福祉の向上を兼ねた全国的にも珍しい施設です。
集めているものは、家具・古本・電気製品・衣類・日用品・自転車など再利用のできる物ならなんでも。電話一本で毎週月曜日にとりに伺います。ただ、今は申し込みが多く、電話をいただいてから1か月程度先になるとか。もちろん持って来ていただいても結構です。
所長の山本さんは、最近の様子を「暮れと転勤の多い3月に、たくさん物が出ます。使い捨て時代を反映して、いい物がありますよ。ふれあいバンクとしては、ありがたいけれど、これでいいのかなって思うこともありますね。このごろは中国やフィリピンのお客さんも来るんですよ。祖国へ送るために車のトランクいっぱいに衣類を買っていきます。考えさせられますね。いずれにしても上手にここを利用してください」と話してくれました。詳しくは、電話51-3080へ
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( 写真説明 ) 自転車の整備をする皆さん
( 写真説明 ) 営巣は月曜日〜金曜日の9時〜15時30分、土曜日は午前中
ごみを宝に変える、名人ぞろいのグループ。 第一清掃工場「まゆの会」
「本当にこれがごみ?」と毎日痛感しているのが、第一清掃工場の職員です。こうした思いから、10年前に「まゆの会」というリサイクル活動グループをつくり、皆さんからごみとして出された物を修理・再生しています。新品同様となった物は、リサイクル展に展示したり、市民ふれあいバンク等に提供しています。ごみを宝に変える名人ぞろいのグループです。
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( 写真説明 ) 活動場所の「ありんこハウス」の中はいろんな物でいっぱい
邪魔だけど捨てられない、古本はリサイクル文庫へ。 リサイクル文庫
どこのうちにもある古本。邪魔だけど、かといってごみにするのも、もったいない。
そんなときは、消費生活センター(保健婦人センター2階)の、リサイクル文庫を御利用ください。
不用になった文庫本、単行本を提供していただき、ほしい人に低価格で買っていただいています。
売上げ金は、募金として福祉に役立たせます。不用な本(雑誌・漫画を除く)のある人は、直接消費生活センターへお持ちください。
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( 写真説明 ) 漫画でも伝記や歴史ならOK
紙の都の住民だから 紙にデリケートな気持ちを
リサイクルについて、これまでいろいろ紹介してきましたが、私たちの一番身近にあるリサイクル品は紙。新聞・雑誌・ダンボールなど、家庭にはあふれんばかりの紙があります。
紙のリサイクル古紙回収は、PTAや子供会などで盛んに行われています。しかし、皆さんの家庭から出される燃えるごみの内容をみると、それでも紙が一番多い割合を占めています。
紙の都の住民としては、生産だけでなく、資源の有効利用という点から、より一層のリサイクルを進める必要があるのではないでしょうか。
そして、リサイクルを進めると、そこに温かいハートが生まれてくるように思うのですが…
豊かな時代に
昔といっても20年ぐらい前までのことでしょうか。
いただき物のきれいな包装紙は、おばあさんやお母さんが上手にほどいて、とっておいてくれたものでした。新聞紙もたきつけや包み紙に使われ、置き場所にさほど困った記憶はありません。
ところが、現在は豊かな時代を反映し、物はどれも美しい包装紙に包まれ、とっておくとたまる一方です。新聞紙も読んだあと使うことは少ないので、すぐいっぱいになります。
新聞1年分は立木一本
それでは、こうした古紙を捨てずに回収すると、どの程度省資源に役立つのでしょうか。
驚くなかれ一家庭当たりの1年分の新聞は、直径14センチ・高さ8メートルの立木約一本に相当します。富士市は6万6,000世帯ですから、6万6,000本の立木の保護に役立つわけです。古紙は大変な資源といえます。
一層のリサイクルを
富士市は日本一の紙のまち。紙関係の工場で働く人は、全従業者数の約3人に1人に上ります。
ですから、業務上古紙の資源性を知っている人も多いはずです。
しかし、下の表を見てください。平成元年度の家庭から出されたごみの種類を見ると、紙・布類は全体の40%を占めており、これはここ数年変わっていません。
地元に製紙原料業者も多く、古紙回収には好都合な環境にあることを考え合わせると、まだまだリサイクルを進める余地は十分にあります。
現在、日本全体では製紙原料の約半分を古紙で賄っています。これは世界で一番高い数字になっています。そうした中、富士市民は紙の都の住民として、資源保護に対してもデリケートな気持ちを持ち続ける必要があるのではないでしょうか。
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( 写真説明 ) 地域の古紙回収
( 写真説明 ) 牛乳パックの回収箱は消費生活センター(保健婦人センター2階)にあります
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( 図表説明 ) 平成元年度のごみの内容
業界としてのリサイクル対応
課題はP(ペーパー)・S(スラッジ)灰の処理
紙の業界ではリサイクルについてどのような取り組みがされているのでしょうか。静岡県紙業協会の松坂博文専務理事にお話を伺ってみました。
――古紙リサイクルの現状は
森林資源の保護、省資源・省エネルギーといった観点から、古紙の回収・利用は重要なことです。紙の中でも、特に富士市で生産の盛んなトイレットペーパーなどの家庭紙は、ほとんど古紙を原料として使っています。
――古紙の回収・利用率は
残念ながら富士市だけのデータはありません。日本全体では約50%で世界第1位です。残りの原料の木材チップについても、製材所から出る残材や廃材、あるいは木材製品には利用できない低質材が多く利用されています。紙の原料が木材だからということで、森林破壊の原因のように言われることがありますが、むしろ木材を有効利用していると思います。
――古紙を出すとききをつることは
新聞・雑誌・ダンボールなどに選別して出してくれるとありがたいです。また、紙ならなんでも原料になるかというと、そうではありません。ワープロやファクスに使われる感熱紙などはリサイクルできません。
――牛乳パックの利用などは
牛乳パックはバージンパルプ100%でできており、大変高品質の原料です。ただ、表面のラミネートを剥離する装置が必要でまだ幾つかの企業でしか扱われていません。これから原料として安定供給ができれば、次第にふえると思います。
――現在の課題は
大きな意味でのリサイクルとして*ペーパースラッジ灰の再利用があります。県や市の補助金をもらって盛んに研究が進み、ブロックや側溝、パイプなど幾つかの試作品がつくられていますが、需要の開拓が必要です。そうした面でピーアールを進めます。
*原料のうち、紙とはならない繊維や無機質を燃やした灰
リサイクルはハートを温める 平成の貝塚を残さないために…
紙の仕分けを
さて、子供会やPTAの役員などになって、実際に古紙やアルミ缶の回収などを経験された人も多いかと思います。
集めることを体験した人は、気づくでしょうが、せっかく古紙を出してくれても、新聞と雑誌が入りまじっていたり、ビニールやアルミはくが挟まっていることがよくあります。
古紙の品質向上のために、新開・雑誌・ダンボールなどをしっかり仕分けして出してください。
資源という意識が身につく
そうは言っても、実際は仕分け直したり、縛り直したりしなければなりません。
「全く面倒ね」「しっかり出してくれればいいのに」とか話しながら仕事をするのですが、人間一緒に仕事をすれば自然にコミュニケーションが生まれるもの。
そして、たとえ動機が組織の資金のためでも「ちりもつもれば山となる」で集まった古紙などを見れば、資源という意識を持たざるえません。
リサイクルを進める上では、このように体験を通して資源という意識を持ち、横の関係が広がっていくことが大切です。
物を大切にしてごみにしない
また、一度、7ページで紹介した「市民ふれあいバンク」にも足を運んでいただきたいものです。
だれが見ても「これが不用品、もったいない」と思うはず。あなたの家庭ではちょっと壊れたり、汚れたぐらいならごみにせず、直したり、整備してみませんか。お父さんが眠っていた物を生き返らせたりすれば、お父さんは面目躍如。家族のコミュニケーションもよくなります。
そして、修理して使った物は、なぜか愛着がわき、ひいては、物を大切にする気持ちにつながるのではないでしょうか。
つまり、リサイクルは人々のハートを温め、何でもかんでもごみにしてしまう現代の私たちの心にくさびを打ち込む役割を果たすと思うのです。
落し主ヤーイ −東部市民プラザプールの忘れ物−
「なぜとりに来ないんでしょうね」東部市民プラザのプールには、たくさんの忘れ物が残されたままです。麦わら帽子20個、浮輪とタオルがかご一ぱいゴーグル30個、そのほか水着一式から財布まで本当にたくさん。しかも、大半の物は新品同様。とてももったいない話なのです。心当たりの人は、10月末日までに東部市民プラザヘ。電話34-0500
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( 写真説明 ) 水泳用具が泣いています
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