とにかく、大きなかまです。
これで御飯を炊いたら、一度に100人前は用意できるそうです。
直径が56センチもあって、ヒノキのふたがついています。実はこれ、炊飯用ではなく、本当は大豆を煮るためのかまなんです。
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( 写真説明 ) 大きなかまでしょ!とあや子さん
かま
秋のお彼岸のころは、“ねかし物”に一番いい季節。1年分のみそやしょうゆを仕込む季節でした。
みそやしょうゆの原料は、大豆に小麦、米や塩。大豆を煮るためのかまは、リヤカーに乗せられて、きょうはここの家、あしたはあそこの家へと、組合の家を順番に回ります。
久沢の渡辺源一さんとあや子さんのお宅からは、もう使わなくなったかまを、市立博物館へ寄贈していただきました。
「おばあちゃんが使っていたものです。大豆は、手ですぐにつぶれるまでやわらかく煮ますから、一日がかりの仕事でねえ。朝、暗いうちから煮てましたねえ。添加物の入らない、自家製のみそやしょうゆに魅力はあっても、小麦も手に入りにくいし、しょうゆの
「しぼり屋」さんもいないしで、今では、買っています」と、あや子さん。
近所の渡辺綾子さん78歳も、このかまを使ったひとり。「7人から8人の家族のしょうゆだったら、大豆一斗に、小麦が一斗。大豆は一晩水につけてから煮ます。きれいな黒色の香りのいいしょうゆができましたよ」と、話してくれました。