蚊帳(かや)は、夏の風物。
先に布団を引いてから、蚊帳をつります。蚊が入らないようにうちわであおぎながら、素早く中に入ります。
穴原の加藤清正(きよまさ)さんと安子(やすこ)さんに、蚊帳のつり方を見せていただきました。
蚊帳
どこの家にも昔、蚊を防ぐための蚊帳が2枚から3枚はありました。薄暗い蚊帳の中は、風も入らず暑苦しいのですけれど子供たちにとっては不思議な雰囲気のする場所。だから、何となく楽しくて、兄弟でふざけ合ったり、蛍を放したり、雷が鳴ると、急いで蚊帳をつって逃げ込んだりしたものです。
加藤さんのお宅からは、六畳間用の蚊帳を市立博物館へ寄贈していただきました。「家を建てかえた時に、捨てようかと思ったけれど、何かの役に立つかも知れない」と、取ってあったものでした。
行商人から買ったもので、色はグリーン。紙を細く切って、ひものようにして作られています。大切に保存されてあって、45年以上はたっているのに、少しも傷んでいません。
「昔は牛や豚、鶏も飼っていたから、蚊が多くて−。蚊帳はもう必需品だね。蚊が逃げるように、杉の葉っぱやよもぎでいぶしたりもしたよ」
「今は家畜はいないし、農薬も使うし、環境衛生がよくなったと言うのか、蚊もハエも随分いなくなったね」と、話してくれました。
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( 写真説明 ) 蚊帳つりは女の仕事でしたと安子さん