農業は、理屈より体が動かなければいけない仕事。中でも米づくりは、田植え、草取り、刈り取りと、大変な労力と手間がかかります。
昭和10年代、農機具もまだ少なかったころ、田の草取り機は大活躍しました。
田の草取り機
新しい農機具が出ると、何でも試してみたくなる性分だと笑う、入山瀬の井出正(まさし)さんのお宅には、田の草取り機が3台ありました。2台は、さびてつぶれてしまいましたが、1台は、まだ十分使えます。残った1台を、市立博物館に寄贈していただきました。
田植えの終った水田は、ちょうど緑のじゅうたんを敷いたようにとてもきれいです。しかし、草は後から後から生えてきます。
農家の仕事は、草との戦い。昭和10年代から30年代の初めまで、田の草取り機は大活躍します。幅と高さを調節して、稲と稲の間を押して歩きます。草を取りながら、土をやわらかくする効果もありました。機具を使っての作業も大変ですが、それまでの、腰を曲げて水田の中をはい回っての草取りに比べたら、随分と楽になったそうです。
年々、米の作付面積が減っています。反面、農業の機械化は急速に進みました。井出さんのお宅でも、田植えは3時間。刈り取りも機械。田の草も、除草薬の使用であまり生えなくなりました。そして、田の草取り機の姿は、もう見かけません。
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( 写真説明 ) 昔はこんな格好でと井出正さん