祭りに仕掛けるとびの心意気「富士地区とび工業連合会」若とび会の会長
芹沢行雄(せりざわゆきお)さん(四ッ家・41歳)
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祭りの男。
セクシャル・ハラスメントではないけれど、祭りはやっばり男の世界。白いさらしに祭りばんてん。酒のにおいと流れる汗。そんなイメージにぴったりなのが芹沢行雄さん。富士地区とび工業連合会若とび会の会長です。
祭りを愛し、酒を愛し、愛する奥さんとも祭りで知り合ったとか。
はしごのり
一番の売り物は“いき”や“いなせ”。芹沢さんたちは富士祭りに向けて最後の仕上げに余念がありません。はしごのりは、木遣り(きやり)、まといとともに、とびに伝わる伝統の技法。
はしごの一番上で行う技「遠見(とおみ)」や「しゃち」。はしごの中途で行う技「谷のぞき」や「腕だめ」。ヒヤッとする、見せ場をつくる「肝(きも)つぶし」。それらの技をどう組み合わせ、どういった演技の流れをつくるかに苦心しています。
もちろん、若い演技者の身のこなしや気合いの入れぐあいにも、全神経を集中させます。何しろ、高さ7メートルのはしごの上。一瞬の油断も許されない緊張の連続です。
とびの心意気
かつて、建築現場の3役といわれ、妥配を振るっていたとび。名前もだんだん忘れさられ、危険な仕事に若い人も集まりません。しかし、生活の根っこの部分を支えているのが、とびの仕事。本物志向が要求されます。
はしごのりは、ただ単に技芸を見せるものではなく、祭りに仕掛けるとびの心意気なのです。