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【広報ふじ平成元年】=聞こえます歌声が 感じます鼓動を= あなたのステージ新文化会館

基本設計がまとまりました

 多くの市民の皆さんの参加でまとめ上げた新しい文化会館のイメージ(建設構想)。このイメージをもとに進めてきた基本設計が完成し、文化会館の姿が次第に見えてきました。
 私たち、市民一人ひとりがはぐくんできた大切な文化の芽が、新しい「まちの顔」文化会館の建設で、4年後には大きく花を開きます。


周囲の緑と水辺に調和したアーバン空間を演出します。

 会館は、隣接する中央公園の緑や潤井川、古川の水辺とよく調和するように設計されています。また、潤井川大橋からのゆるやかな歩道の傾斜に映えるよう、正面(青葉通り側)はすべて4階まで貫く列柱とします。
 さらに、この列柱も含めガレリアは耐久性にすぐれ、景観の上からも好ましい御影石を考えています。

(計画の概要)
◆建設地 富士市蓼原字中瀬 ◆敷地面積 17,772平方メートル ◆延床面積 約22,700平方メートル ◆構造 鉄骨鉄筋コンクリート一部鉄骨造 ◆1階…ガレリア、展示室、リハーサル室、2階…大・中・小ホール、レストラン 3階…レセプションホール 4階…会議室、和室
- 写真あり -


まちの真ん中生き生き空間

 青葉通りを西へ向って、市庁舎を過ぎ潤井川大橋を渡ると左手に三角形の広い空き地が見えます。通りを挟んで右手に市民プールの見えるこの位置に、新しい文化会館が建設されます。工事の着工は来年の6月、オープンは平成5年の1月が予定されています。
 本市の交通のかなめである、新幹線新富士駅、東名富士インターそして田子の浦港からもほぼ同距離にあり、正に富士市のど真ん中。隣接する中央公園や潤井川の水辺、「ふるさとの顔づくリモデル事業」として整備の進む歩道など、市民が自然に引き寄せられるゾーンに建設されるこの会館は、私たちの心をしっかりととらえて離さないでしょう。


ガレリアはにぎわいのスペース

 この会館の大きな特徴に共通ロビー(ガレリア)があります。青葉通りと平行して長く伸びたガレリアは富士山の眺望がすばらしく市民はもとより市外や海外からの人には特に魅力的なゾーンとなります。このガレリアの奥に大・中・小ホール、管理棟が順序よく並び、市民が一目で判別できるように配置されています。ガレリアには、カフェテリア、談話コーナー、AV情報コーナー等を設け、市民がいつでも気軽に利用できる開かれたスペースとします。華やかで、落ち着いた雰囲気の中で、待ち合わせやちょっとした打ち合わせに御利用ください。また、中央公園で遊んだ後、レストランでの食事も楽しいものです。


部屋の1つ1つに顔があります

 文化会館は、あらゆる文化活動の鑑賞と発表の場を用意します。大ホールでは、音楽を主体にしたクラシックのコンサートやバレーを、中ホールでは演劇を主体に、イベントやショーに、また、ピアノやコーラスの発表会・小演劇には、小ホールが最適です。
 展示室は、従来の会議室と異なり展示専門の部屋として600平方メートルを確保しました。また内部は、天井走行式展示パネルによって自由に仕切れますので小さな展示会でも利用できます。
 4階には、会議室に接して和室を設け、日本庭園越しに富士山の眺望が楽しめます。3階のレセプションホールは、ディナーショーやパーティーに利用できる格調の高い部屋となります。


あなたのステージを用意します

 市民みずからが企画し参加する文化活動は、今後ますますふえる傾向にあると言えます。新文化会館はこのようなはっきりとした目的意識を待った個人、グループ相互の交流の場を設けています。
 お互いの交流から、理解を深め、また新しい文化をつくってゆく...。こうした活動が人と人との輪を広げ、知的意識を身につけた連帯感のある富士市民を形づくってゆきます。
 私たちの夢が実現します。4年後にはあなたのステージが用意されているのです。

- 図表あり -
( 図表説明 )
◆主な施設の収容能力
大ホール………………1,636席(ほか車いす6席)
中ホール………………700席(ほか車いす4席)
小ホール………………326席(ほか車いす4席)
レセプションホール……400人(立食時)
レストラン………………80席程度 


人と人、人と文化の交流をはかります。

 ガレリア(共通ロビー)は連続した吹抜けで、青菜通りの傾斜と会館自体の緩やかな曲線によって、しゃれたにぎわいのある空間が誕生します。いつでも気軽に立ち寄れ、開かれた人と人のふれあい、人と文化のふれあいの場となります。
- 写真あり -

聞こえます歌声が感じます鼓動を 新文化会館

よりよい音の響きを求めて
 一般的に、ホールの評価は音響のよしあしで決まると言われています。
 本市では、基本計画の段階から音響コンサルタントをお願いし、提言を設計に生かしてきました。その成果について、先日、市内の音楽家の皆さんとの懇談会が開かれましたので紹介します。


豊田泰久氏
- 写真あり -

 豊田氏は福島市音楽堂やサントリーホールなどの音響を手がけ、現在は本市と米国ウォルトディズニーコンサートホールを担当しています。


シューボックス型が音響に最適

−私たち音楽家にとって、ホールの音響は最大の関心事ですが、新文化会館の音響対策にはどのような工夫がされていますか。
コンサルタント・ホールの音響のよしあしは、基本的にはホールの形で決まります。最適な形はシューボックス型(靴箱型)で、経験的にも科学的にも証明されています。本市の大・小ホールについても、この型で設計をしてありますのでその点は心配ありません。

- 図表あり -
( 図表説明 ) <直方型(靴箱型)ホールと扇形ホールにおける側方反射音の比較>


多目的ホールに欠かせない音響反射板

−新しいホールは多目的ホールと聞いていますが…。

コンサルタント
・ええ、そのとおりです。しかし、本市の大ホールにつきましては、建設構想が音楽を主体とした多目的ホールですので、従来の多目的ホールに比べると大幅な改良が必要です。

−どんな点が改良されますか…。

コンサルタント
・原則は多目的ホールですから、演劇や講演等の目的で使われる場合も考えに入れなければなりません。実際には、舞台の左右を広くとり、天井を高くして照明器具や看板等をつるす棚を取り付けるのです。でも、そうなると靴箱型の空間ではなくなります。そこで音響反射板の登場です。

−舞台の幅と高さを客席と合せて靴箱型をつくり音を反射させるための囲いですね。


走行式音響反射板の秘密

コンサルタント
・そのとおりです。しかし、本市で今回採用する反射板は従来のものと全く異なります。不用時の収納方法が違うのです。
 今までですと、舞台の上部につっていたのですが、そのため軽い素材を使用しました。しかし音をよく反射するためには、重くて固く分厚い素材が最適なのです。それには、走行式にして舞台後部に収納しなければなりません。当然費用もかかります。しかし、本市は私たちの提言どおり、この走行式音響反射板を採用したのです。
 この方式は全国でもまだ数か所で、NHKホールや東急文化村ホールがそうです。その意味で、大ホールの音響は日本でトップクラスになると自負しています。

- 写真あり -
( 写真説明 ) 音響コンサルタント、豊田泰久氏(永田穂建設音響設定事務所)の説明に聞き入る市内の音楽家の皆さん

- 図表あり -
( 図表説明 ) 大ホール断面図
( 図表説明 ) 中ホール
 演劇が主体のホールですから、舞台と客席との一体感を出す必要があります。そこで、2階席には舞台を囲むようなバルコニー席を設けることにしました。


各ホールは独立した建物

−そのほか、よい音づくりのためにどんな工夫がされていますか。

コンサルタント
・これは地震対策でもあるのですが、エキスパンション・ジョイントと言って、各ホールは独立した建物となります。こうすることにより、隣のホールからの音の振動をシャットアウトするのです。遮音の徹底のため奈落(地下室)も独立させます。


中ホールの音響にも注目しています

−私たち、市内の音楽家が一番利用するホールは、規模からいっても中ホールが多くなると思います。ですから、中ホールの音響が一番気になります。私はチェロ奏者なのですが弦の響きはどうですか。

−ピアノの昔はいかがですか。

−私は声楽家ですが、ホールによっては歌っている時、舞台で聞こえる音と客席で聞く育とに差が生じます。そうしたことはありませんか。

コンサルタント
・中ホールは基本的に演劇を主体としたホールですから、言葉がはっきりと聞こえるよう設計されています。つまり響きは短くなります。しかし、このホールにも走行式音響反射板を設けてありますので、これを使えば音色のいい音は確保できます。結論的には、弦には少し短くピアノには適した響きとなります。また、舞台と客席との響きの差は、従来の多目的ホールの場合時々起こる現象ですが、これも走行式音響反射板でほぼ解決できます。


音は時間をかけて育てていくもの

コンサルタント
・小ホールについては、自主文化活動を主体としたホールですが、小規模ながら天井も高くし音響にも十分配慮しました。全国でもトップクラスの音だと思います。

−お話しから感じたことは、大・中・小それぞれのホールがはっきりとした主張を持っていること、そして私たちを含め市民にとって大変利用しやすいだろうということです。建設の基本計画の段階から音響の専門家に依頼した市の姿勢は評価できると思います。

コンサルタント
・私たちも当初からホールの形と大きさを指定できたことが、いい音づくりにつながったと思っています。
 ここで一言申し上げたいのは、音はホールを使い込むほどよくなってゆくという事実です。市民がよくホールに親しみ、理解し使いこなすことで音は育ってゆきます。

−お話を伺い、私たち市民によって文化会館が成長することを痛感しました。本日はありがとうございました。

懇談会に出席した皆さん
辻村 典枝(声楽)
萩原 明美(声楽)
青木 裕子(ピアノ)
加藤美智子(ピアノ)
中村 史子(ピアノ)
佐野 穣一(チェロ)
茅原 初子(フルート)
池田 信−(画家)
辻村 晴男(ピアノ調律)

世界に向けた富士市の顔に

(指揮者)小林研一郎氏
- 写真あり -

 1974年ブタペスト国際コンクール第1位。現在主にヨーロッパで活躍。アムステルダムフィル首席指揮者、ほか都督および東響などの正指揮者を歴任。

 私は指揮者ですから、文化会館イコール音楽専門ホールということになります。ヨーロッパではこうしたホールを持つことが市民の誇りです。いわばその都市の「顔」となるのです。
 富士市も音響には気を使っていらしゃるようですね。ホールはできるだけ豪華に仕上げ、お客さんをリッチな気分にしてあげてください。日本だけでなく欧米の楽団も演秦したくなるようなホールになるといいですね。時間をたっぶりかけて、すばらしい会館を建ててください。私も楽しみにしています。  (10月3日、富士文化センターホールにて)

- 写真あり -
( 写真説明 ) 小林先生と地元の音楽家との懇談会
添付ファイル
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