植物と陽光の関係といえばすぐに光合成(炭酸同化作用)を思い起こしますが、陽光にはほかにも植物の成長に欠かせない大切な要素があります。
日照時間もその一つです。植物には茎の先端に「成長点」と呼ばれる小突起があり、葉を次々に展開させたり花を咲かせたりしています。この成長点では、さらに日照時間などの特定の環境の変化を鋭く察知して、葉になるか花になるかを決定するセンサーの役目も担っています。日照時間が短くなると成長点が花芽分化を起こして開花する植物を「短日植物」、その反対に日照時間が長くなると開花反応を示す植物を「長日植物」といいます。短日植物の代表的なものにはキクやポインセチアなどがあり、長日植物にはムクゲやアスターがあります。いくら肥料をやっても花が咲かないというような場合には、日照時間が適当かどうか一応調べてみる必要があるでしょう。
現在では、園芸農家の多くが植物のこの性質を逆手にとって開花時期を調節した栽培を行っています。短日植物であればシェード栽培により、長日植物であれば電照栽培により、花期を出荷に有利な時期に持っていきます。クリスマスに真っ赤に色づいたポインセチアを贈れるのも、正月に満開の秋ギクを観賞できるのもすべて日照時間の人工調節によるものなのです。
なお、植物にはこのほかに花芽分化の条件が温度によるもの(感温性植物)や、日照にも温度にも影響されないもの(中性植物)があるので、草花の購入時にはどのタイプに属するのか確認しておくとよいでしょう。