富士市の基盤であり、生命線である富士・愛鷹山麓。市は、これまでこのすばらしい富士・愛鷹山麓の自然を保全し、大規模な開発を抑制してきました。
ところが、一方では21世紀を展望した土地利用には、富士・愛鷹山麓も含め広い視点からの対応が必要な時代ともなってきています。
そこで、市は、富士・愛鷹山麓の自然を保全しながら、望ましい地域環境のあり方を定めるため「富士・愛鷹山麓地域環境管理計画」の策定を始めました。
富士・愛鷹山麓から多大な恩恵
私たちはふだん意識をしていませんが、富士・愛鷹山麓の豊富な自然から多大な恩恵を受けています。
富士・愛鷹山麓が醸し出す豊富な地下水は、紙・パルプ産業を初めさまぎまな産業を興しました。豊かな緑は災害を未然に防ぎ、空気を浄化し、自然の生態系の宝庫となっています。そして富士山や愛鷹山の雄姿は、人々を時に励まし時に慰め、人々の精神・文化のよりどころともなっています。いわば、富士・愛鷹山麓は富士市民の生活・経済・文化などを支える大きな碁盤であり、生命線なのです。
こうした観点から、市は昭和49年に富士・愛鷹山麓地域における大規模開発の規制を表明し、50年には「富士前の自然環境の保全と緑の育成に関する条例」を定めました。市はこの条例で、自然環境を適正に保全していくための総合的な対応を明確にし、乱開発抑制の姿勢を貫いてきました。
新たな計画が必要に…
富士市のまちづくりで、市域全体の適正な利用は重要な課題です。例えば、第2東名やリゾート開発などという言葉を耳にしたことがあると思います。
特に富士・愛蔵山麓地域については、市が進めてきた自然保護を基本におき、将来にわたっての市民生活の確保と健全な経済活動のあり方を求めて、広い視野からの対応が必要となっています。
現代社会の急激な変革や価値観の多様化の中で、富士・愛鷹山麓地域の適正な利用は時代の要請ともいえるのですが、その活用は、一時的な社会現象や目先の営利の追求に起因するものであってはなりません。
なぜならば、失われた自然の復元は至難のわざであり、安全で快適な市民生活と健全な経済活動を直接的に脅かす結果となりかねないからです。
安全で快適なまちづくりを進めるためには、市民生活とその周りを取り巻く環境の保全・整備を計画的に進めていく必要があります。
このような考え方から、富士・愛鷹山麓地城の実態を把握し、望ましい地域環境のあり方を明確にするとともに、一定のルールを定めることを目的として 「富士・愛鷹山麓地域環境管理計画」の策定に着手しました。
- 写真あり -
( 写真説明 ) 6月18日の公開セミナー
自然環境の保全と利用のあり方を設定
策定する富士・愛鷹山麓地域環境管理計画では、市民の生活環境や安全性並びに快適性(景観を含む)、そして健全な経済活動の基盤としての自然環境のあり方等を科学的にとらえます。
その上で富士市が21世紀に向けてのまちづくりに必要な土地利用と自然環境の保全について、長期的で総合的な環境管理の計画を確立します。
このため、既に昨年4月から、富土・愛鷹山麓に関する総合的な調査が行われています。
調査に当たっているのは、静大理学部助教授近田(こんた)文弘氏を委員長とする「富土・愛鷹山麓地域環境調査研究委員会」で、地下水や地質・景観などの専門家14人で構成されています。
一方、本年4月に発足した矢部助役を委員長とする別表のような「富士・愛鷹山麓地域環境管理計画策定委員会」は、富士・愛鷹山麓に関する総合的なこの調査結果をもとに、市民の皆さんの合意の上で環境管理計画を策定します。
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( 図表説明 ) 富士・愛鷹山麓地域環境管理計画策定委員会
公開セミナーを開催
6月17日・18日、富士市農協会館ホールで、これまで行ってきた富士・愛鷹山麓の調査結果について、市民の皆さんの御理解をいただくための公開セミナーが開かれました。
参加者は両日で約600人。富土・愛鷹山麓地域環境調査研究委員会から、自然環境・山麓景観・社会環境等の特性について、調査結果の説明がされました。
これに対して市民の皆さんから地質や地下水汚染、森林保護などについて質問が出されました。
今後、7月8日(土曜日)に富士文化センターでパネルディスカッション、9月30日(土曜日)に吉原市民全館で政策シンポジウムが行われます。御参加ください。
環境管理計画に対するお問い合わせは、環境管理対策室 内線 2676へ。