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【広報ふじ平成元年】きれいな水って楽しいな =はぐくんで、水、コミュニケーション=

 富士山の豊富な地下水は、湧水となって大地を潤し、私たちの生活を支え、産業を起こし、またその清らかな流れは、みずみずしい感動と安らぎを私たちに与え続けてきました。
 しかし、今日のより便利で快適な生活の追求は、一方で地下水の減少や川や海の汚染を招き、私たちに大きな試練をもたらしました。
 こうした貴重な体験から、私たちは「水」を改めて見詰め直すことができたのです。これから水と触れ合う季節。水は限りあるもの、守ってゆくものという視点に立って、私たちは何を求め、何をすべきか考えてみましょう。

湧水

私たちは水の都の市民です

 富士市は、全国でも有数な湧水の町として知られています。古代から湧水地を中心にして人々の生活が営まれてきました。
 富士山の恵み、地下水は山ろくの市や町を潤しています。本市でも上水道は100パーセント地下水。安全でおいしい水が22万市民の渇きをいやしています。通産省の調査では、市内の地下水は富士山水系、愛鷹山水系、富土川左岸水系、潤井川水系に分類され、1日に127万立方メートルの流量があり、これは柿田川(清水町)の湧水量を上回ります。
 この豊富な地下水を利用して、富士南ろくには早くから製紙業が発達し、江戸時代には「駿河半紙」が盛んに生産されました。現在の近代製紙工業はこの土壌の上に発展したものです。
 「いい紙をつくるには、いい水をたくさん使え」…。製紙は水が決め手です。地下水は川の水に比べ温度が低く一定で、しかも水質がすぐれているのでうってつけです。
 しかし、一般に1トンの紙に400トンの水が必要といわれるほど製紙は用水型産業なのです。加えて、高度経済成長期には重化学工業も発展し、地下水が過剰に汲み上げられた結果、地下水の塩水化が起こりました。
 こうした地下水の危機を克服するため、官民一体の「岳南地域地下水利用対策協議会」が設立され、水の再利用や節水などの合理化や「東駿河湾工業用水道」への水源転換を進めた結果、現在1日当たり32万立方メートルの地下水利用量が削減され、第一次削減計画はほぼ達成されたと言えます。

- 写真あり -
( 写真説明 ) 湧水(今泉5丁目)
( 写真説明 ) 洗濯中の山田さん(手前)と野原さん
 湧水は、冬温かく夏冷たいので洗濯が楽ですよ。ことしは水が多いですね。ポリタンクで水を持ち帰ったり、毎朝飲みに来る人もいます。


水が私たちに教えてくれたこと

 地下水は限りある資源であり、地域の共有財産であるとの観点に立った「岳南地域地下水利用対策協議会」(加盟、245事業所)の活動は、他県に先駆けたもので、全国的に高い評価を受けています。
 地下水の量に限りがあることを学んだ私たちは、もう一つ貴重な体験をしています。
それは、水(川)が流れ込んだ汚れを自ら浄化する能力にも限界があるということです。田子の浦港のヘドロ問題は私たちに大きな教訓を残してくれました。この問題も「岳南排水路」への放流切り替えや、工場、事業所の努力で川も海も以前のようにきれいになってきました。「水は守ってゆくもの」ということを私たちは学んだのです。

親水

私たちの心は今、水辺へ

 田宿川(今泉)の周辺には幾つもの湧水があり、今でも、毎朝近所の主婦が洗濯をする姿が見られます。電気洗濯機の普及前は順番を待つほど込み合ったそうです。
 上水道の整備や電気機器の発達で、知らず知らずに私たちは川に背を向けてきました。蛇口をひねれば水が出る、ボタンを押せば洗い物ができるという便利で快適な生活を送るうちに、いつしか川を生活の捨て場にしていたのだといえます。
 ことし、「静岡県まちなみ五十選」に本市の「潤井川大橋」・「湧水公園(比奈)」・「今泉8丁目」が選ばれました。内2つは水辺の景観です。また、昨年の世論調査「都市の景観」でも「都市の美しさ」は緑と水辺にあるという結果がでています。経済が安定成長に移り、市民に身近な水辺を見直すゆとりが生まれ、関心が高まっています。

- 写真あり -
( 写真説明 ) ハヤやザリガニ、フナもとったよ!田宿川、橋の上で(今泉)
都市景観優秀賞を受賞!
「県まちなみ50選」に選ばれた「潤井川大橋」は、都市景観優秀賞も受賞しました。

- 写真あり -
( 写真説明 ) 湧水公園(比奈)
( 写真説明 ) 河川空間を生かした富士川緑地
 ソフトボール場、野球場、サッカー場等を整備した「富士川緑地」は、市民に人気の高い水辺空間で、年間、延べ8万人の利用があります。


もっとふれて 水・コミュニケーション

 水に接し、水とたわむれることは子供だけでなく、大人でも心はずむものです。魚が泳ぎ、トンボやホタルが飛び交えばなおさらです。また、大きな川の堤防や橋から見た河川空間の広さには、何か安心感を覚えるものです。まちづくりの中から生まれた「たらい流し川祭り(田宿川)」や「桜まつり(小潤井川)」・「かりがね祭り(富土川)」なども、市民のこうした水への想いのあらわれといえそうです。
 市は、市民の皆さんに少しでも水辺に近づき、コミュニケーションを図ってもらおうと、河川のちょっとした空間を利用して「親水ゾーン」をつくっていこうと工夫しています。例えば、河川の護岸壁に階段を設ける(宮島堀川)。水際に湿性植物の花壇をつくる (松岡)。川や用水路に沿って「親水」を目的とした公園やプロムナードをつくる(下堀・小潤井川)などです。また中央公園の滝や池などの周辺にも「親水空間」を取り入れてあります。
 一方、大きな川の場合、例えば市民の皆さんにスポーツとレクリェーションの場として人気の高い「富士川緑地」も、広い河川空間を利用したもので、のびのぴとした気持ちで体を動かすことかできます。また、近い将来この富士川の左岸に親水公園をつくる計画もあります。

下水道

水環境浄化の決め手 公共下水道
- 写真あり -
( 写真説明 ) 東部浄化センター(建設中)


水環境浄化のエキスパート公共下水道

 私たちは、過去の貴重な経験から、限りある地下水の大切さ、きれいな川の流れの必要性を知りました。水は今を生きる私たちと未来を生きる子供たちとの共有資源です。より豊かできれいな水を次代につなぐ努力をしなければなりません。
 川の汚れは大きく分けて、工事や事業場からの産業系排水と家庭からの生活系排水によります。本市の工場排水は岳南排水路へ切りかえたり、排水規制がされていますので、現在の汚れの原因は生活系排水が、主なものと考えられます。以前から、家庭排水の問題については地域や家庭で取り組み成果を上げていますが、やはり、抜本的な解決は公共下水道の整備を待たなければなりません。
あなたの身近にあります。


水・コミュニケーションゾーン

- 写真あり -
( 写真説明 ) 宮川堀川
( 写真説明 ) 小潤井川
( 写真説明 ) 中央公園
( 写真説明 ) 下堀緑道

来年4月には東都浄化センターも完成
 公共下水道は、各家庭からの生活糸排水を下水路を通して集め、きれいな水にして川や海に戻す施設です。この整備が進めば、川がきれいになるだけでなく、カやハエの発生を防ぎ、また悪臭もなくなります。
 静岡県の下水道普及率は全国平均よりもかなり低い水準にあり、本市の場合も県平均を上回っているものの、全国平均にまでは至っていません。下水道の普及には、膨大なお金と長い年月を必要としますが、市は本年度も約53億円をかけ、下水管渠(きょ)等の整備を進めていきます。また、来年の4月には東部浄化センターも通水を開始し、下水処理区域が市の東部にまで広がります。


水は地球をかけめぐる

 下水道の普及には、菅渠の整備や処理施設の維持管理の費用についても市民の皆さんの負担なしには実現が不可能です。
 また、トイレを水洗化するにはまとまったお金が必要となります。そこで市は、皆さんの家計の負担を少しでも軽くし、下水道を一日でも早く利用してもらおうと「水洗トイレ改造資金融資あっせん制度」を設けています。
 =水は地球をかけめぐる= 水は蒸発して雲となり、雨や雪となって再び地上に戻り、川や地下水となって海に注ぎます。私たちには地球規模の視点をもって「水」を考えていくことが求められているのです。

- 図表あり -
( 図表説明 ) 下水道事業計画図
( 図表説明 ) 公共下水道普及率の推移

下水道Q&A

下水道を引くのにかかる費用は
中村千歳さん(大野新田)
- 写真あり -

Q 下水道を引きたいのですがいろいろと教えてください。
  まず受益者負担金とは、どのような制度ですか。

A 下水道の事業費は主に国と市の税金で賄っていますが、下水道の利益を受けるのは下水道の設置された地区の皆さんに限られます。そこで、こうした皆さんに事業費の一部を負担していただく制度なのです。

Q 水洗トイレに改造するにはどのくらい費用がかかりますか。

A これは、各家庭により条件が違いますので一概に言えませんが、一般的な家庭では20〜30万円くらいが多いですね。

Q トイレ改造資金の融資あっせん制度があると聞きましたが。

A はい、最高30万円までの貸付融資のあっせんをしています。償還期限は2年以内、利息は市が全額負担します。申請等は市指定の排水設備業者が代行しますので御相談ください。

Q 使用料の仕組は…。

A 家庭からの下水は化学的処理をして河川に流します。この処理費用の一部を負担していただくのが使用料で、水道料金と一緒に納めてもらいます。
詳しくは下水道課へ  内線 2514〜17

- 図表あり -
( 図表説明 ) ●受益者負担税額(1平方メートルにつき)
( 図表説明 ) ●使用料金(月額)
- 写真あり -
( 写真説明 ) コイの放流(潤井川)
添付ファイル
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広報広聴課 (市庁舎8階北側)
電話:0545-55-2700 ファクス:0545-51-1456
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