【広報ふじ平成元年】富士山のようにさわやかな街に
悪臭公害防止対策指導要綱を見直します
悪臭公害防止対策指導要綱を見直します
市は悪臭公害対策として、昭和55年に「富士市悪臭公害防止対策指導要綱」を定め、悪臭のない街づくりに取り組んできましたが、このたび、基準を見直し、4月1日から新たな指導基準を適用します。
これは、社会情勢の変化や新富士駅の開業などから、より一層快適で美しい街づくりを進めるためです。
今回は、新しい指導基準値について臭気調査のパネラー(調査員)遠藤邦子さん(岩本)と佐野満(みつ)子さん(鈴川東町)のお二人に、市の大石公害課長を訪ねていただきました。
佐野満子さん
- 写真あり -
大石公害課長
- 写真あり -
遠藤邦子さん
- 写真あり -
厳しくなる基準
遠藤
こんにちは、パネラーの遠藤です。
佐野
佐野です。
大石
こんにちは、公害課長の大石です。悪臭調査では、いつもお世話になっています。
遠藤
早速ですが、昨年11月ごろテレビや新聞で、富士市の悪臭要綱の指導基準値が、来年度から変わると報道されていましたが、どのように変わるのでしょうか?
大石
結論から言いますと、数字になってしまってなじみにくいかと思いますが、工場などの境ではかる悪臭・臭気の基準値が、住居地城を中心とした第一種区域で臭気濃度10から 30が30に、近隣商業地域や商業地域、準工業地域などの第二種区域で20から60 が50に、工業地城などの第三種区域で30から150が90に変わります。
佐野
これまでより基準が厳しくなるということですか?
大石
臭気濃度とは、においのある空気を無臭の空気で薄めた倍数ですから、今までは150倍に薄めてにおいがなくなったものを、90倍に薄めたらにおいがなくなるようにしなければなりませんので、厳しくなったと言えます。
遠藤
においというのは、一人一人違った感覚だと思います。例えば、よいにおいの花と思っても人によっては嫌なにおいだったり時々なら好きなにおいでも、それがずっとになると嫌いになったり…。そういう面では大変ですね。
大石
そうなんです。おっしゃるように感臭は感覚公害ともいえ、生活や環境により随分変わります。
佐野
そうですね。
大石
しかも、風などの気象条件によって左右されやすく、原因を突きとめにくいといえます。
遠藤
いろいろと御苦労があるんですね。
においはどんな感じ?
佐野
ところで、今回の基準値の見直しは一般的なにおいの感じとして、どのような感じですか?
大石
非常に表現の難しい質問ですね。先ほど、工業・工業専用地域での基準値が、150から90になると言いました。これは、もちろんにおいの質によって違いますけど、90と言えば何のにおいか楽に感じるにおいとでも言えるでしょうか。住居地城の30というのは、何のにおいかわかるといった程度のにおいです。
遠藤
すると、今よりにおいが弱くなるのは間違いないですね。
大石
そうですね。工場への立ち入り調査や、市民の皆さんからの苦情に対応して、企業の皆さんに基準を守るように指導するのはもちろんですけれども、可能な限り基準を下回るようにお願いしています。
苦情内容も変化
遠藤
富士市はかつて公害の街として有名になったことがありますが、今はどんな状態ですか?
大石
皆さんもお気づきのように公害は大気汚染や水質汚濁も含め大変改善されてきています。悪臭の苦情に限っていっても、昭和55年度の81件をピークに、62年度は33件に減っています。
遠藤
随分減ってきたんですね。
大石
苦情の内容も以前は紙パルプに対するものが多かったのですが、最近は、畜産農業に対するものがふえています。
佐野
そうなんですか。
人間の鼻で調査
遠藤
悪臭について、ほかの市はどのような取り組みをしているのでしょうか。
大石
悪臭というのはいろいろなにおいがまじっている場合がほとんどです。富士市で行っている「官能試験法」は、人間の鼻で実際のにおいをかぎわけるのですから、悪臭防止法で定めていない悪臭も規制できる利点があります。昭和55年ごろ、この調査方法をしていたのは数県市でした。現在は24県市で採用しています。
遠藤
そうすると先駆的と言えるわけですね。
においのない街づくりを
佐野
近ごろ、富士市は新富士駅ができたり、国際友好都市提携を結ぶなど、よそからお客さんがたくさん来るようになってきました。私たちでさえ、しばらく旅行などをして富士へ帰って来ると郷土のにおいに気がつくことがあります。お客さんでは、なおさら敏感なのではと思いますが、市としては、将来的な目標はどのように決めていますか。
大石
お話のように地元の人間は、においに慣れてしまっていることがあると思います。商用などで来たお客さんから「くさい」と言われることもあります。こんなこともあって、新しい基準値を定めたわけですが、依然としてにおいがあるのは事実です。市としてはこれから6年ぐらいの間に、新たに定めた上限の基準値90を70ぐらいにできるよう努力します。
また将来の目標値として第一種区域を10、第二種区域を20、第三種区域を30に定め、においのない街づくりを進めたいと思います。
遠藤
いろいろ御苦労があろうかと思いますが、すばらしい富士山に似合うさわやかな街になるようがんばってください。今日はありがとうございました。
佐野
ありがとうございました。
- 図表あり -
( 図表説明 ) 富士市悪臭公害防止対策指導要綱による指導基準値
( 図表説明 ) *悪臭濃度とは臭気のある空気を無臭空気で臭気の感じられなくなるまで希釈した場合の当該希釈倍数をいいます。
- 写真あり -
( 写真説明 ) 事業所の煙突から臭気を取る公害課職員
( 写真説明 ) 取ってきたにおいを袋に詰めパネラーが実際にかぎわける「官能試験法」
添付ファイル
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