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【広報ふじ昭和64年】ふるさとの昔話

大渕大峯山の蛇塚

 ことしは巳(み)年。つまり蛇年です。昔、大渕の丸火自然公園東側付近に大峯山の蛇塚と呼ばれる塚がありました。今回は、その塚に伝わっていたお話です。
( 写真説明 ) 蛇塚があったという大和同園の遺跡


カヤ刈りに行った農民

 九火自然公園の東側に、昭和の初めごろ「心教本部不二大和同園」という宗教団体がありました。その境内には大峯山の蛇塚と呼ばれた塚があったといわれています。
 昔、大渕の丸火自然公園のあたりは、遠く人里頼れた山奥でした。
 ある日、上和田の農民が一人でこの付近へ草刈りに行きました。大峯山のふもとはカヤがいっぱい茂っていたので、「これはよい場所だ」と思って刈り始めました。


丸太のような大蛇

 農民がふと足元を見ると、大きな丸太がありました。足でそれを取りのけようとすると、なんと丸太は動き出すではありませんか。 「はて?」と思ってよく見るとそれは大蛇でした。しかも、かま首をもたげ、舌を出して、今にも飛びかかってきそうでした。
 びっくりした農民は、気を失いそうになりましたが、ー目散に家まで逃げ帰りました。農民は、家まで着いたものの顔が真っ青で、震えがとまらず、寝込んでしまいました。そして、とうとう朝になって死んでしまいました。
 近所の人たちは「大蛇が吐き出した火をかぶったからだ」と言いました。そして、「再びこんなことがあっては」と心配して、大峯山に蛇塚をつくりました。


大蛇が出そうだったよ

 現在、大峯山を管理している大渕3丁目の後賂広瀬さん(68歳)は「大蛇の話は子供のころ年寄りから聞いたことがあるよ。大峯山のあたりは今でこそヒノキ林だけど、音は一面カヤ畑だったね。本当に大蛇が出そうなところもあったよ」と語ってくれました。

後藤広瀬さん
- 写真あり -
添付ファイル
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