疥癬とはダニの一種である疥癬虫(ヒゼンダニ)が、皮膚の角質層内に寄生することによって起こる皮膚病です。疥癬虫の大きさは、0.3ミリメートルぐらいで、肉眼では見えません。人間だけでなく犬・猫にも発生します。不眠を訴えるほどの激しいかゆみが特徴です。
皮疹は小丘疹、小結節が全身に広がり、一見湿疹あるいは、アトピー性皮膚炎に似ているので誤診されることもあるようです。
終戦直後、日本でかなり流行したのですが、その後絶滅し、昭和50年ころから海外旅行により再び日本に持ち込まれ、以後増加の一途をたどっています。
感染経路は大別して二つあります。一つは性行為やペットを愛玩することによる皮膚と皮膚との直接接触によるものです。このため準性病に位置づける医学者もいます。もう一つは、感染者の使用した寝具を介して感染する経路で、職場の当直仮眠所のベッドによる集団発生がしばしばみられています。また、最近保育園や養護施設での集団発生の報告もありました。
診断は、指間や下腹部の特徴ある皮疹から専門医には容易です。
診断さえつけば、寝具の日光消毒、硫黄入浴剤での入浴、それに専用の外用薬を塗ることで、約一週間程度で治癒(ちゆ)します。 〈富士市医師会〉