富士市 FUJI CITY Official Site

富士市
広報ふじ > 昭和63年 > 昭和63年4月5日 477号 > 【広報ふじ昭和63年】ふるさとの昔話

【広報ふじ昭和63年】ふるさとの昔話

津田に伝わる民話 猫のタマ

 昔、津田村に裕福な一軒の旧家がありました。しかし、この家は仕事の失敗で、だんだん暮らしが苦しくなり、とうとう雨漏りのするあばら家になってしまいました。その上、主人が病気で、稼ぐこともできません。
 その家に、ずっと前からタマという一匹の猫が飼われていました。主人は毎日、少ない御飯をタマと分けあって食べていました。
 ある日、タ飯を食べた後、寝るころになって、「タマや、もう寝ることにしよう」と言って、タマを捜しましたが姿が見えません。どこかへ遊びに行ったのだろうと思って、主人は寝てしまいました。
 翌朝、主人がまくら元をふと見ると、お金が置いてあります。数えると8文です。「おや?こんなはずはない。確かに何にも置かなかったはずだ」と、わけがわかりません。でも、 主人にしてみれば8文というのは大金です。(きっと神様が恵んでくれたんだろう)と神棚を拝んで、お金をいただくことにしました。
 その次の朝も、まくら元にお金が置いてあります。次の朝も、その次の朝も……。不思議に思った主人は、タ飯を食べて外へ出かけるタマを、そっとつけてみました。そんなこととは知らないタマは、河原へ出て、あたりを見回してから、川の中に生えている青い藻を前足で取っては頭につけます。それを何度も繰り返し、タマは目の不自由な人の姿になりました。
 「そうだったのか。タマが盲人の姿になって、人からお金を恵んでもらっていたのか」と思うと、涙がほおを伝わりました。ある晩、主人は、「タマよ、おまえにまで苦労をかけてすまない。でも、私も体が丈夫になって、働けるようになったからもうやめてくれ」と言いました。次の日、タマはどこかへ姿を消したということです。
添付ファイル
※PDFを初めてご覧になる方は、ソフト(Adobe Reader)のダウンロードが必要です。
「Get Adobe Reader」のボタンをクリックし、説明に従いAdobe Readerをダウンロードして下さい。
Get Adobe Reader
広報広聴課 (市庁舎8階北側)
電話:0545-55-2700 ファクス:0545-51-1456
メールアドレス:kouhou@div.city.fuji.shizuoka.jp
〒417-8601 静岡県富士市永田町1丁目100番地 電話 0545-51-0123 ファクス 0545-51-1456
E-mail kouhou@div.city.fuji.shizuoka.jp