エイズ(後天性免疫不全症候群)は、もとは中央アフリカの地方病でしたが、1981年ころから欧米の男性同性愛者の間に広がり、最近では女性や一般人にも及んでいます。
欧米には万単位のエイズ患者がおり、米国での感染者(エイズ抗体陽性者)は100万人以上になると言われています。日本では、昨年末で感染者は約1,000人程度ですが、徐々に増加しています。
エイズはエイズウイルスが原因で、このウイルスは白血球の一種であるリンパ球に侵入しこれを破壊します。リンパ球は細菌、その他の病源体を殺す抗体をつくる重要な役割を持つ細胞です。この細胞の死滅により抵抗力がおちて、有害な微生物の侵入が容易になり、ついには死に至ります。現在このウイルスに対する有効な薬はなく、ワクチンもありません。
このウイルスの感染は非常に限定されていて、精液や血液以外では他人にうつりませんので、エイズ感染のおそれのある人(例えば、不特定多数の異性と性交渉を持つ人)との性行為を避ければ、まず安心です。輪血またはその製剤でも感染する場合があります。
日本のエイズ感染者の大部分は血友病患者ですが、現在は危険な血液は使用されていません。万一、エイズ患者の血液と接触したらよく水洗してください。
エイズウイルスは20分以上の煮沸で死滅する程度の弱いものです。いたずらに恐れることはありません。 <富士市医師会>