春がすみのたなびく中でけんらんと咲き乱れる桜の風情は、古来から日本人の心をとらえ、日本的な感性の象徴として愛され親しまれてきました。
桜はバラ科サクラ属の植物で世界に約200種の仲間がありますが、アジアの温帯部に多く、特に花の美しい種類は日本列島に集中しています。それゆえに、平安の古き時代より日本人は桜の品種改良を手がけ、最盛期の江戸時代には実に400余品種がつくり出されたと言われています。
しかし、近年ではどういうわけか、あまり桜を植えなくなったようです。
その理由はいくつか考えられますが、どうもソメイヨシノ(染井吉野)に原因があるようです。ソメイヨシノは成長が早く花つきがよい優良品種で、桜のの代名詞として広く普及しています。しかし、その反面、大きくなり過ぎる、病虫害の被害を受けやすい、短命であるなどの欠点があり、庭植えには向かず、つい敬遠してしまうようです。しかし、桜には小面積の庭に向くものや、鉢植え・盆栽仕立てが可能な品種も多くあります。下の表は桜の主な品種をまとめたものですが、様々な用途に見合った品種が生産されています。
次回は、桜の一風変わった植え方を紹介しましょう。
- 図表あり -