ストレス潰瘍という言葉を聞くことがありますね。胃潰瘍の発生原因は、攻撃因子(塩酸・ペプシン)と防御因子(粘膜の抵抗力・粘液質)のバランスの崩れによると言われてきましたが、最近ではこれに種々のストレスが重なって起るものと考えられています。
潰瘍とは、胃や十二指腸の粘膜が胃液で消化されて傷(粘膜欠損)ができたもので消化性潰瘍とも言われています。
潰瘍はありふれた病気で、統計によると壮年以上の人の約20パーセントが発病し、さらにその後10年間で約80パーセントの人が再発するという宿命的な特徴があります。
また、体質や胃の構造上の面からだけでなく、性格的に神経質な人がかかりやすいという特徴も持っています。そのために心身両面からの取り組みが必要で、潰瘍症として治療しています。
以前は潰瘍が癌化(がんか)するとの考えから積極的に手術を行った時期もありました。しかし潰瘍は良性の病気であり、また有効な薬が開発された現在では内科的治療が主となり、合併症(出血、狭窄(きょうさく)、穿孔(せんこう))等がない限り手術は行われなくなりました。
消化性潰瘍の予防、再発の防止には、心と体の安静が最も大切です。なによりもストレス(肉体的、精神的)をためないよう、常日ごろから心がけることが必要です。 <富士市医師会>