【広報ふじ昭和63年】プラスチック・ビニール類は可燃ごみに……
4月1日から、ごみの分け方・出し方が変わります
昭和56年から始まったごみの分別収集。
現在、市は市民の皆さんから「可燃ごみ」「資源ごみ」「埋立てごみ」「有害ごみ」の4つに分けて出していただいたごみを収集し、それぞれ焼却、売却、埋立て、委託により処分を行っています。
市では、さらにこのごみを適正に効率よく処理すため4月1日からプラスチック類等の「埋立てごみ」の一部を可燃ごみ」として収集し、焼却を開始します。そこで、今までと変わる点、目的などを市内三四軒屋にお住まいの主婦、井上夏代さんに第一清掃工場を訪ねていただき、藤沢日出治所長からレポ−トしていただきました。
対談
井上さん(左)と藤沢所長
- 写真あり -
ごみを出す機会がふえます
井上
初めまして。井上と申します。4月1日からごみの分け方・出し方が変わるというので、どんなふうに変わるのか教えていただこうと思ってお伺いしました。
よろしくお願いいたします。
藤沢
こちらこそ、よろしくお願いします。
井上
早速ですが、まずどんな点が変わるのかということから伺いたいと思いますが……
藤沢
結論から申しますと、今まで埋立てごみとして収集していたビニール・プラスチック類を可燃ごみにしようというわけです。
井上
具体的には、可燃ごみに変わるのはどんな物があるのでしょうか。プラスチック類と一口に言っても、わかりにくい物もありますが…。
藤沢
そうですね、具体的には、このような物です。(左の絵を示す)また、一覧表の入った印刷物を、近々、各家庭に配布する予定です。
井上
そうしていただけると、わかりやすいですね。その中には日程なんかも入っているのですか。
藤沢
ええ。可燃ごみ、資源ごみは今までと収集回数は変わりません。埋立てごみと有害ごみ(乾電池)が、これまでの月2回から月1回になります。しかし、これまで埋立てごみとして出していたごみの大部分が、過2回の可燃ごみの収集日に出せるようになり、ごみを出す機会は実質的にふえます。
井上
それはうれしいです。私ども家庭の主婦としては、今まで発泡スチロールのトレーなんか、たまって困ってたんですよ。特に私の家は家族も多いし、出るごみも多いので助かります。
それと、ごみの集積場所のことなんですが、可燃ごみの量がふえますね。今までの場所で大丈夫でしょうか。
藤沢
ごみの集積場所は、町内会長さんを通して決めています。不燃物はごみ全体のうちの8〜9パーセント程度ですから、数値的には大丈夫だと思っています。
埋立て処分量が減り経費の節減に
井上
次に、不燃ごみの一部を可燃ごみに変えることで、ごみを出す機会がふえること以外に、どんなメリットがあるのでしょうか。
藤沢
一番のメリットは埋立て処分地の問題です。現在、焼却処理施設から発生する灰や、資源化できない不燃ごみの処理は、埋立てにより処理されていますが、今後、埋立て処分地の確保難は、ますます深刻化していくものと思われます。昭和61年度の実績を見ますと、埋立てごみと焼却灰をあわせて1万1,950トンが埋立てられました。しかし、埋立てごみとして出された内容を調査すると、現在の清掃工場で焼却可能なものが7割以上もあることがわかりました。
井上
そんなにあるんですか。
藤沢
ええ。この中で一番大きな位置を占めるのがプラスチック類のごみです。これらのごみは、埋立て処分をしても自然界に還元されず、いつまでも残り続けることと、重さの割に非常にかさばり、処分地を効率よく使用できないことなどの問題があります。しかし、プラスチック類などを焼却処分することにより、埋立て量を減らし、処分地の延命化、埋立て処理費を節減することができます。
井上
処理費の節減は、幾らぐらいになるのでしょうか。
藤沢
現在、トン当たり5,300円の埋立て費用がかかりますが、1年間に1,500万円くらいの節減になります。
井上
それは、税金を払う私たち市民としても、とってもいいことだと思います。そのほかにはどんなメリットがあるのでしょうか。
焼却能率が向上
藤沢
富士市のごみの特徴は、紙が非常に多いということです。
井上
ええ、紙の都ということは知っています。
藤沢
そして、水分が50パーセント以上あって、灰分が少ないということです。ちょうど、紙をバケツの水に漬けて取り出す。そんな状態で、非常に燃えにくくなっています。これは何とかしなければと考え、いろいろな実験を繰り返してきました。その結果、プラスチックなどの高カロリーのごみを可燃ごみとして焼却することで、ごみ質を改善し、安定した燃焼状態をつくることが可能であることがわかりました。
公害対策は万全
井上
私は今まで、プラスチック類を燃やすと高熱が出て炉を傷めるということ、それと、有毒ガスが出るので燃やせないんだという認識を持っていたんですが。
藤沢
ここの炉は特殊構造になっています。「水冷壁構造」と言いまして、炉の壁が水管に覆われています。そのため、炉内の温度の上昇を抑える効果があり、高い発熱量のプラスチックに対しては、非常に強い炉と言えます。
井上
今までの炉とずいぶん違うわけですね。
藤沢
そうです。全国でも富士と京都の2か所しかありません。それから、煙の問題ですが、プラスチック類を燃やすのに一番問題となるのが、有害な塩化水素です。
これに対処するためにこの工場では、消石灰を炉の中と煙道の2か所に吹き込んでいます。消石灰と塩化水素を化学反応させて飛灰(ひばい)とし、電気集じん機で取り除く構造になっています。
井上
熱と有毒ガスについてはわかりましたが、黒い煙は大丈夫でしょうか。
藤沢
黒い煙は、ほとんどの成分がばいじんなんです。ばいじんについても、電気集じん機で取り除くことができますので、公害の面については全く問題がありません。実際、実験的に昨年の2月から、不燃物と可燃物を混ぜて燃やしていますが、公害の原因となるいろいろな数値を連続測定した結果、問題になる数値は検出されていません。例えばNOx(窒素酸化物)の規制値は富士市の場合、国の規制値よりも大変厳しくなっているので、今まで、規制値をクリアーするのが大変でした。しかし、現在は楽に規制値以下で運転しています。
ぜひ、見学に来ててください
井上
心配がないというわけですね。私も時々、家庭でプラスチック類を燃やしているのを見かけますが、すごくにおいます。清掃工場で焼却する場合は、そういうことはないわけですね。
最後に、ごみの分け方・出し方が変わるというのは、私たち主婦の立場では重要なことですので、皆さんに徹底していただきたいと思います。きょう、工場や埋立て処分地を見学させていただいて、実際に見るのが一番わかりやすいなと思いました。
藤沢
そうですね。今までにも消費者運動連絡会や環境衛生自治推進協会、婦人会の役員さんには、今度のことを説明しました。そして、「5、6人集まれば案内をしますので、工場をぜひ見学に来ていただきたいとお願いしました。
井上
申し込みは、どちらへしたらいいんですか。
藤沢
直接、第一清掃工場(35-0081)へ電話してください。また、要望があれば我々の方で、場所や時間を問わず、いつでも出かけて行って説明します。
井上
ぜひ、ここを見学してもらうといいですね。きょうは、いろいろとありがとうございました。
- 写真あり -
( 写真説明 ) 市内桑崎の埋立て処分地
レポートを終わっての感想 ごみに対する教育が大切ですね
井上夏代さん(三四軒屋)
- 写真あり -
プラスチックや発泡スチロールなどは燃やすと高熱や有害ガスを発生し、炉や公害対策に悪いかと思っていましたが、逆に燃焼効率がよくなるというのには驚きました。また、公害面も万全なので安心しました。
ごみを出す私たち市民としては、分別が楽になるわけですが、ごみの出し方のルールはきちんと守っていかなければいけませんね。
埋立地も見せてもらい、ごみの問題は、一地方自治体の問題ではないと思いました。例えばプラスチック類の使用を規制するなど、国としてどう対処すべきか、研究してほしいと思います。私たちも、地球の未来を考え、ごみについての関心をもっと持つ必要があると思います。また、小さいころから、ごみに対する教育に、力を入れる必要がありますね。
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