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【広報ふじ昭和62年】ふるさとの昔話

平井島のいいなり地蔵

願いが何でもかなう

 身延線跡地を公園にした、富士緑道の旧竪堀駅公園から北へ460メートルほど歩くと、左手に小さな石のほこらと木造の建物があります。ほこらは山の神様を祭った山神社で、建物の中にはいいなり地蔵と呼ばれる顔の細長いお地蔵さんが祭ってあります。
 この地区の村々は、古郡氏の新田開発によって新しくできたものが多かったので、村人たちが心のやすらぎを求める氏神などは、初めのうちはなかったのでしょう。けれども、村の生活が安定していくのに従って、このお地蔵さんもいつのころからか祭られるようになったのかもしれません。
 近くに住む遠藤忠之(ただし)さん(78歳)は、次のように話してくれました。
「このお地蔵さんにお願いすると何でもかなえられたから、いいなり地蔵って言うんだよ。今でも遠く沼津から、大漁を願ってお参りに来る人があるよ。例年8月14日がお祭りで、昔は露店商もたくさん出てにぎやかなもんだったけどねえ。だから今でも毎月14日に、近所の女の人が集まってお題目を唱えているよ。
 私らが子供のときは、ここに子供二人でかかえきれないほどの大きい松があったけど、たしか昭和7年の台風で倒れてしまったと思うな」


松が多かった松本村

 また、このあたりを松本地区の中でも、古くから住んでいる人は平井島と呼びますが、地名の由来について遠藤さんは、「潤井川の土手と、中堀から分かれた二つ堀の土手に、松の木がたくさん植えてあったので松本と言うんじゃないかな。平井島って言うのは、加島平野の中でもこの辺が平らだったからだと思うよ」と話してくれました。

- 写真あり -
( 写真説明 ) 話してくれた遠藤忠之さん
添付ファイル
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