【広報ふじ昭和62年】竹取物語発祥の地 富士市
現代に伝わるかぐや姫のロマン
竹採塚周辺の環境整備を検討
竹から生まれたかぐや姫が、みかどや5人の、男から求婚されながらも天にの上っていくという「竹取物語」は、日本最古の物語で、子供のころだれもが聞いたことのある夢物語です。
また、最近は映画で女優の沢口靖子さん演ずるかぐや姫の竹取物語が上映されるなど、全国的にも話題となっています。
市内比奈の岡田博さんが所有する竹林には、竹取物語発祥の地と伝えられる竹採塚があり周辺には物語に由来する地名や伝承も数多く残されています。
市は、このロマンあふれる竹取物語を広く全国に紹介するため、昨年10月に元静岡大学教授の若林淳之さんを座長とする「竹取物語調査研究委員会」を発足させ、現在その研究報告を整理しています。そこで今回は、竹取塚とその周辺の地名の由来などを紹介します。
数多く残る由来
市内比奈、市立吉原第三中学校の東側に、落ちついた趣の竹林があります。
竹林の中はうす緑色の光に包まれ、サラサラと葉音を聞きながら小道を進むと、縦・横40センチメートルぐらいの卵形の石が、6、7個の溶岩を台座にして見られます。これが竹採塚で、石には「竹採姫」という文字が刻まれています。この塚が竹採物語の発祥と伝えられています。備え付けられた説明板を読み、目を閉じれは、気分はすっかり竹採物語の世界。
また、塚の周辺には竹採物語に由来する地名や伝承が数多く伝わり、かぐや姫を身近なものとして感じることができます。
その内のいくつかを紹介しましょう。
◎姫名郷(ひめなごう)
承平年間(931〜937)に、今の百科事典に相当する「倭名抄(わみょうしょう)」という書物が編集されました。これによれば、竹採塚のある周辺は「姫名郷」と呼ばれ、姫名郷はいつしか比奈村と呼ばれるようになったと考えられます。
ヒナは雛(ひな)に通じ、小さな人形とか美しい少女という意味があり、かぐや姫との深いかかわりが感じられます。
◎籠畑(かごはた)
竹採屋敷の南側付近を寵畑と呼んでいます。竹採のおじいさんが籠をつくったところだといわれます。
◎かぐや姫
市立吉原第三中学校の敷地付近の地名をかぐや姫といいます。
◎竹採屋敷
竹取屋敷とは、白隠(はくいん)禅師が中興した無量寺というお寺があったところで、その白隠禅師の書物に上ると、「竹採屋敷の西側の斜面に大きな竹やぶがあり、そこに竹採姫と刻んだ卵形の石をのせた塚がある」と記述されています。
現在は、岡田博さんの屋敷になっています。
◎囲いの道
吉原第三中学校の正門近くから富士山項まで続く小道があったと伝えられ、その道を通ってかぐや姫が富士山へ登ったといわれます。
今は、道らしい様子は消えうせて、コンクリートの排水路になっています。
◎見返し坂
竹採塚の北方の高台に、見返し坂と呼ばれるところがあります。
かぐや姫がおきな夫婦との別れを惜しんで幾度も見返したところだと伝えられています。
◎寒竹権現社(かんちくごんげんしゃ)
市立吉原商業高校の東側にある神社です。この神社は木花咲耶姫(このはなさくやひめ)を祭っていますが、かぐや姫を祭った神社とも言われています。
塚の周辺を整備
塚の周辺を整備
竹採塚は何百年も前からあったにもかかわらず、これまで一般にはあまり知られていませんでした。
ところが近年、市民の皆さんの各種文化活動が高まるにつれて郷土の歴史や文化財に寄せる関心が急速に高まっています。特にロマンあふれる竹採塚に訪れる市民は、目立って多くなっています。
市は、こうした皆さんのニーズにこたえるため、今後、竹採塚周辺の環境整備を進めていきます。
このほか、富土市としてのかぐや姫のイメージを近いうちにまとめ、地域文化のより一層の振興を図ります。
竹取物語に関する問い合わせは、文化体育課へ
- 図表あり -
( 図表説明 ) 案内図
- 写真あり -
( 写真説明 ) 竹林の全景
( 写真説明 ) 静かにたたずむ竹採塚
市民の声
なんとなくミステリアス
第2代ミスかぐや姫 土屋恭子さん(柳島日東・学生)
- 写真あり -
幼いころ母が、まくら元でよく話してくれたのがかぐや姫の話です。
そのころから、かぐや姫の幻想的な美しさは、あこがれの的でした。今でもなんとなくミステリアスな感じに引かれます。
竹採塚は、中学生のとき知りました。竹林の周辺を公園のように整備し、もっと宣伝をすればと思います。でも、あんまり現実的にすると夢が壊れるかな。
かぐや姫を市民のよりどころに
岡田明良さん(中比奈3・県立大学職員)
- 写真あり -
岡田さんは岡田博さんの次男で、富士高、富士東高などで国語を教えていました。
「10世紀につくられた竹取物語が、今読んでもおもしろいということは、すばらしいことです。竹採塚の横には高僧白隠のお墓がありますが、白隠が塚に大きくかかわっていると、私は考えています。これから竹採塚が単に観光的な開発だけでなく、市民の精神的なよりどころとなるよう期待します」
添付ファイル
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