【広報ふじ昭和62年】急速に進む高齢化社会でもみんなが明るい老後を
9月15日〜21日は老人福祉週間
「万一」「もし」寝たきりになったら……
寝たきりのお年寄りを介護している加藤嘉子さんは、短期保護制度を利用してリフレッシュ。
「安らかな老後を送りたい」というのは、だれもが願うことです。
しかし、病気や事故が原因で寝たきりの生活を余儀なくされているお年寄りも少なくありません。
寝たきり老人になると、お年寄りが大変なのはもちろんですが、介護に当たる人やその家族も大変です。
実の父の介護を続ける加藤嘉子さん(入山瀬久保)の生活を紹介しながら、富士市の寝たきり老人対策を紹介します。
加藤さんの生活
四六時中休みのない介護
加藤嘉子さんのお父さん(78歳)は、若いころは腕のよい大工さんでしたが、昭和55年に脳血栓で倒れてしまいました。
療養の結果、小康を取り戻したものの身体に障害が残り、ろれつが回らなくなりました。
昭和61年には、乳母車を使って歩行中に転倒、以後は寝たきりの状態となってしまいました。
最近は、時々はいずって外へ出たり、たんすの衣類を出してしまうなど一種の痴呆状態を示すときもあります。
ですから、介護にあたる長女嘉子さんは、四六時中目を放せません。食事や着がえ、おむつ交換など日常生活は、大変な作業です。
介護に一年365日休みはありませんので、精神的な疲労もたまる一方です。
2人の介護を4年間
実は、昭和59年に亡くなった嘉子さんのお母さんも、胃の手術がもとで突然、痴呆老人となってしまいました。
プラスチックの器をガスコンロにかけ、火事を起こしかけたり、夜、ふらっとどこかへ行ってしまい、警察や広報無線の世話になったこともありました。
ですから、嘉子さんは昭和55年から59年の間、子の役目だから当然と言えばそれまでですが、2人の老人の介護にあたっていました。
また、嘉子さんのご主人が建築関係の仕事を自営していることから、嘉子さんの仕事もあり、介護に家族の協力は欠かせませんでした。
2人を介護している間、家族のレジャーはもちろん、子供の入学式・参観日などまったく出席できませんでした。
短期保護を利用
そんな折、みかねた近所の人が、地域の民生委員さんにそんな状態を伝えてくれました。
たまたま、ことしの6月嘉子さんの疲労がピークに達し、体の調子をくずしてしまいました。
嘉子さんは市の福祉課に相談、お父さんを大渕の富士楽寿園という寝たきり老人を受け入れる老人ホームに短期保護してもらいました。
短期保護とは、介護者が病気や事故などで一時的に介護できないとき、原則として一週間を限度に老人ホームで老人の世話をしてもらう制度です。
嘉子さんはそれまでそんな制度を知りませんでしたので、とても不安でした。また、一時的にせよ老人ホームに親を預けるということへの抵抗もありました。
ところが、短期保護から帰ってきたお父さんの気分は上々でした。
家ではめったに入れなかったふろに週に2回入れてもらったことが気分転換となったようです。
嘉子さんの体調が回復したのはもちろんですが、家庭での介護方法を教わったり、ほかにも結構大勢の寝たきり老人がいることを知り、精神的にも気楽になりました。
何年ぶりかで海水浴
嘉子さんは「これまで寝たきり老人や痴呆老人の苦労なんて、テレビの話と思っていました。実際、自分が介護してみて短期保護制度に大変感謝しています。ことしの夏も、何年ぶりかでお墓参りや子供を海水浴に連れていくことができました。短期保護制度を知らない人は一度福祉課へ相談してみたら…」とピーアールをしてくれました。
そのほかの制度
そのほかの主な寝たきり老人福祉制度は次のとおりです。
◇老人家庭奉仕員の派遣
ひとり暮らしや身体に障害のある老人で、日常生活が困難な場合や、その家族が世話をすることが困難な場合、身の回りのお世話をする奉仕員を派遣します。
◇寝たきり老人及び痴呆老人介護者慰労金
在宅の寝たきり老人または痴呆老人と6か月以上同居し、生計を同じくしている介護者に、慰労金として年1回3万円を支給します。
◇巡回入浴車「いずみ号」の派遣
寝たきり老人の自宅に適当な入浴設備がないか、介護者がいないため入浴できない場合、老人の家へ派遣します。
◇特殊寝台・床ずれ防止用マットの貸与
寝たきり老人を抱えた低所得世帯に、無償で貸与します。
◇紙おむつの支給
寝たきり老人を抱えた低所得世帯に紙おむつを支給します。
問い合わせ先 福祉課老人福祉係
- 図表あり -
( 図表説明 ) 老人人口の推移(4月1日現在)
( 図表説明 ) 類方別老人(7月1日現在)
( 図表説明 ) (各年の人数は60歳以上、ただし61年のひとり暮らし及び老人世帯は65歳以上)
- 写真あり -
( 写真説明 ) 「よくけんかもしますよ」と嘉子さん
皆さんの善意を福祉基金へ
「たとえ年をとっても、体に障害があっても、住みなれた街や家で暮らしたい」−高齢化社会の中で、このような願いをかなえていくには、公的援助だけでなく地域や民間団体、企業などのボランティア活動も重要になります。市はボランティア活動の充実、活性化と幅広い在宅の地域福祉活動を推進するために「富土市福祉基金」を設けました。
市は昭和55年度から「ボランティア活動基金」を設け、市民の皆様からの寄付金を積み立ててきました。
その額は昭和61年度末までに5,788万1,936円に達し、昨年度は約780万円の利息を生み出しました。
これらのお金は、ボランティア活動の助成に役立ちました。
62年度からは、この「ボランティア活動基金」をさらに発展させ、充実を図るために、「富士市福祉基金」を設立しました。
これは、ボランティア活動基金を吸収し、市の一般財源から毎年度5,000万円を支出して、市民の皆さんの寄付金と合わせて積み立てていくものです。目標額は4億円で、達成年度は67年度を予定しています。
なお、毎年度基金から生ずる益金の使途については、福祉に理解のある市民と行政の職員15人で組織された「富士市福祉基金運営協議会」で協議されています。
市民の皆さんの温かい志をお寄せください。
- 写真あり -
( 写真説明 ) 夏休みに福祉基金のバックアップで行われた高校生ワークキャンプ(老人ホーム富士楽寿園にて)
添付ファイル
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広報広聴課 (市庁舎8階北側)
電話:0545-55-2700 ファクス:0545-51-1456
メールアドレス:kouhou@div.city.fuji.shizuoka.jp