ガラスはかたく、折れやすいものです。うんと引き伸して直径10ミクロンぐらいまで細くすると、かなり強く曲げても折れなくなります。そして、その表面をさらに屈折率の低いガラスの膜で覆ったものがガラスファイバーと呼ばれるものです。これを2〜3万本束ねて光を入れると、この光が内面で反射を繰り返して、何メートルも先まで、画像として送られてきます。
この原理を初めて人体に応用して、食道、胃、十二指腸の内部をのぞきながら検査できるようになったのが、胃内視鏡(胃ファイバースコープ)です。
内視鏡には、その他に気管支、大腸、膀胱、子宮、関節等種々の臓器を観察できるものがあります。また、その目的によって、送気、送水、吸引、生検鉗子挿入用等の細い孔があり、カメラもついています。
生検鉗子とは、病気の疑いのある箇所を削りとってくることのできる器械です。この削りとってきた組織を応理学の先生に調べてもらい、ガンがあるかないかなどの診断をします。
この「生検」ができるようになってからは、ガンは非常に小さく、ごく早期のものでも診断可能となりました。
内視鏡検査というと、皆さんはすぐ「非常に苦しい検査だ」と思いがちです。ファイバースコープは、進行方向を見ながら挿入していく器械ですし、また技術の進歩により以前に比べて細いスコープが使われていますから、楽に検査できるようになりました。 〈富士市医師会〉