「旅先で遊んできたけど、どうもうつされたらしい。ペニシリンでも注射してくんな」
「うつされた病気かどうか、調べてみましょう。検査には約3週間はみてください。最近はペニシリンが効かないタチの悪いのがふえてきていますよ」
『性病』あなたはこの病気に対して、どのようなイメージをお持ちですか。恥ずかしい病気、あるいは、うつされて運が悪かったと、また、注射か薬で治してもらえばよいと安易に考えているのではないでしょうか。
性病は、あなたが考えているよりも、もっと範囲が広く、恐ろしい病気なのです。抗生物質が発見される以前は、性病にかかることは生きながらの死を意味し、それゆえに人々は恐怖心と警戒心とを持っていました。
それが各種の抗生物質が使われるようになってからは、容易に治し得る病気であるかのごとき安心感を持ってしまったのではないでしょうか。最近、リン病は増加傾向にあり、しかもペニシリンが全く効かないタイプのものが20パーセントもあります。さらに、ほとんど姿を消したかに思われていたはずの梅毒が、第1期症状(新鮮な梅毒という意味)として発見されています。また、ウィルスに関係するものとして、陰部ヘルペス、尖圭(せんけい)コンジロームや、細菌によるものとして、最近注目されているクラミジヤ感染症があり、治療に難渋することがあります。交通機関の発達により地球が狭くなり、病気が全世界に容易に伝染していく時代です。気をつけましょう。自分のためにも、子孫のためにも。 〈富士市医師会〉