下川成の畑の片隅に、行儀よく座っているお地蔵さんがあります。このお地蔵さんは、歯が痛いときご利益があるといわれます。
夢にあらわれた地蔵
昔、昔のことです。ある夜、米山さんのおじいさんは、お地蔵さんの夢を見ました。お地蔵さんは、「私は川成のあぜ道に埋まっています。どうぞ私を堀り出してください。」と言っているのでした。
翌朝、おじいさんはみんなに頼んであぜ道を掘ってみると、夢で見たお地蔵さんが出てきました。
お地蔵さんの首は祈れ、左手は途中で欠けていました。右手をほっぺに当てて痛そうな顔をしていました。みんなはお地蔵さんをきれいに洗い、首や左手を治してやりました。お地蔵さんは、とても優しい顔になりました。
歯痛を治す
あるとき、歯が痛くて困っている人が、ほっぺに手を当てながら通りかかりました。お地蔵さんがほっぺに手を当てているのを見て
「お地蔵さんも歯が痛いですか?」
と、自分のほっぺをなでたり、お地蔵さんのほっぺをさすったりしているうちに、痛みがとれてしまいました。「ああ、ありがたい」と、手を合わせてお地蔵さんに何度も何度もお礼を言いました。
それから、歯が痛くて困っている人は、お地蔵さんのほっぺをさすり、「早く治りますように」とお願いするようになりました。
痛みを忘れる優しい顔
お地蔵さんをまつっている外山晃さん(49歳)は、「昔は供えた水を飲むと治るともいわれました。優しい、ふくよかなお顔を見ていると、本当に歯痛が治りそうな気がします。」と語ってくれました。
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( 写真説明 ) 外山晃さん