深まりゆく秋の一日、近くの野山に出かけてみると、澄み切った青空を背景に木々の紅葉や鮮やかな果実の色が目にしみ、あたかも自然の交響楽の華やかな終楽章を開く思いがします。
一般に雑木といわれ、庭木としては顧みられることのなかった野山の木々も、しばし足をとめて観察すると、それぞれが独特の個性と魅力を備え、季節を演出していることに気づくはずです。
今月は、これら野山によく見られる雑木の中から、庭に植えてみたいものをいくつか紹介します。
ゴンズイ−“ドンドン焼き”でダンゴを刺す三本槍として用いられる木で、秋に実る真っ赤な果実はひときわ目を引きます。根元から切ると株立ち状に仕立てることもできます。
マユミ−紅葉と果実の美しい落葉小高木で、万葉集にも多く詠まれています。土地を選ばず、成長が早いので育てやすいものです。
ガマズミ−10月ごろ、赤いつややかな実が熟し、落葉後も霜の降りるころまで枝先に残ります。性質は強健で、庭では添景木に適します。
ナツツバキ−庭園木として最近特に人気の高い落葉高木で、自然の樹形や幹の光沢が美しく、初夏に大きな白い花を咲かせます。
ほんの一例をあげましたが、このほかにも紅葉のすばらしいニシキギ、ハゼノキ、カエデ類、赤い実をつけるウメモドキ、イイギリ等、多彩な顔ぶれがあります。
本年度の市民緑化祭(11月13日)では、岩本山公園の一角に野山に自生する樹木を約50種、500本余りを植え、気軽に自然の木と接することのできる林をつくりますので、できるだけ多くの木と顔なじみになってください。