寿命が延びお年寄りがふえるにつれ、老人の骨折もふえています。年をとると骨がもろくなり、ちょうど枯木が折れるような折れ方をします。その上、お年寄りは若い人よりも筋肉の衰えが早いので、関節の動きも悪くなります。そして、時には内臓の働きが弱って余病が出たり、精神的にも落ち込んできます。ですから、今はお年寄り向きの特殊な治療法がいろいろ工夫されています。お年寄りに多い骨折をいくつかあげてみましょう。
1)脊椎圧迫骨折 ちょっと転んだり、しりもちをついたぐらいで脊椎(背骨)の一部が押しつぶされるように折れる骨折で、安静にし、コルセット等で支えてやれば症状もすぐ軽くなり、2、3か月で骨は固まります。
2)大腿頸部骨折 大腿(ふともも)のつけ根の部分での骨折です。老人のこの部分の骨も折れやすく、横倒しに転んだときなどよく起きます。以前は厄介な骨折の一つでしたが、今では人工関節に置きかえたり、金属を使って固定する手術法等が行われています。
3)前腕骨骨折 転んで手をついたときなどに起こる手首の部分での骨折です。大部分はギプス固定ぐらいで手術などしなくて治ります。
以上、いずれも老人の骨がもろいために起きる骨折ですから、転ばぬ先の杖という考え方で、予防が第一です。不幸にして、転んで骨折かと思うときは、直ちに専門医に受診し、きちっとした治療をすれば、高齢者でも、日常生活が十分できるように回復することが期待できます。 〈富士市医師会〉