【広報ふじ昭和61年】河川美化運動
川の掃除屋さん草魚を放流−魚に草を食べてもらう初の試み−
市は、「河川美化運動」の一環として、初めての試みである草類を主食とする草魚(そうぎょ)1,100匹と雑食性の近鯛(ちかだい)2,000匹を、市内の田宿川など9河川に放流しました。
いままでは人の作業によって川を清掃してきましたが、今回は魚に水中の藻類などを食べてもらい、川をきれいにしようというものです。
7月31日に放流された草魚と近鯛を、みんなで早く大きくなるようにかわいがってやってください。
毎日こつこつ清掃する魚に期待
毎年、春先から夏にかけて、市内の河川、農業用水路は、都市化の影響を受け、富栄養化が進み、用水中に藻類が異常に繁って通水が悪くなり困っています。
市民のみなさんの協力を得て、春掘りによる河川の清掃や地域清掃で川をきれいにする努力をしていますが、藻類の伸びは早く、刈り採り作業を行っても、すぐに元どおりの長さに伸びて通水をさまたげるほどです。
そこで、埼玉県下で試験的に放流し、よい結果が出ている、草を食べ、しかも強食性の草魚を市内の藻類が繁茂している9河川に放流してみました。
草魚は、成長が早く、しかも大きくなることが特長の魚ですから効果が期待されます。
近鯛は、家庭の台所から流れ出る食べカスなども食べることから草魚と一緒に放流しました。
他市の試験結果では大成功
草魚は、4月上旬から10月上旬が一番成長する時期であり、この期間が最も餌をたくさん食べます。
除草役としての効果も、当然この期間が大きくなります。
データによると、0.7から6グラムの稚魚が、1年で500グラム、5年以降成魚となって、体長は1メートルを超え、20キログラムの大物に成長したという例もあります。
成長最盛期の2年子が300グラム程度で、草摂食量試算では一日当たり、体重の1.3倍もの強食性を発揮した結果が出ています。
この食欲旺盛な2年子の活用が除草能率の関係から最適といわれています。
実験例をみると、平均体重520グラムの草魚288匹を藻類の多い川に放流した結果、1か月を経過しないうちに少しずつ効果が出始め、2か月ぐらいで藻類は皆無状態になり、無放流箇所と比べると驚くほどの差になりました。
増水時、川の側面雑草もことごとく食べ尽くされ、川幅が広く見えました。
草が短くなると根ごと引き抜いて効果は抜群でした。
適量の草魚を放流することが重要
藻類が繁茂する川や用水路に除草を目的として、草魚を放流しましたが、草魚の食べ方の特徴は、水上に抜け出た茎や葉は横かじりができないので食べられません。
除草役としての草魚を活用するには、まず第一に草魚が成育できる環境条件、水深、草類の発生状況、増水時の状況などを検討しておく必要があります。
また、除草効果は大型の草魚ほど高いわけですが、草魚の成育に支障を起こさない大きさと、数量を考慮しなければなりません。
100グラム以上の草魚ならば、100平方メートルに一匹ぐらいで、藻類の繁茂をかなり抑圧できます。
放流時期は、藻類の新芽の出る春先以前が最も効果が上がります。
市は、今回の試みを調査しながら来年度も放流していきます。
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( 写真説明 ) 早く大きくなってねと草魚を放流しました
掃除屋さんを紹介
草魚(そうぎょ)
原産地はアジア大陸東部。40年ほど前に中国揚子江産のものを全国の河川に移殖したが、天然繁殖したのは利根川だけ。
その名のとおり、草食性の魚だが、全長は1メートル以上、20キログラムにも及ぶ。
産卵は6、7月の増水時期。
卵は浮かんで流されながら仔魚になる。そのため、流程の長い川でしか繁殖できない。
壮絶な食欲に目をつけられ、河川や水田の「掃除屋」の名前は世界的である。
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近鯛(ちかだい)
アフリカ東・南部原産の淡水魚である。体長は20〜30センチに達する。体色は黄褐色から暗褐色で、体形は長楕円形である。
口は小さく、鼻の穴が左右に一つずつある。
食性は雑食性である。
産卵期は夏で、産卵期になると、雄が地底に穴を掘り、そこへ雌が産卵する。産卵直後、雌は卵を口の中に含みふ化させる。
ふ化後も幼魚は、しばらくは雌の口の中で育つ。子供を口の中で育てるので、英名ではマウスブリーダという。
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